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M・ナイト・シャマランが監督・脚本を務めた、2008年公開のパニック・サスペンス。 一般市民が次々と自殺するという異常現象とそれによる街の大混乱を描いた本作は、劇中でも引用されている通り「蜂群崩壊症候群」と呼ばれる原因不明の蜜蜂大量失踪現象を参考にしているそうです。まず驚かされるのは冒頭で、工事中のビルの屋上から作業員が次々と飛び降り自殺を図るという何とも恐ろしくショッキングなシーン!ここだけで今回の掴みはバッチリです。そこから市民がパニックに陥る描写もリアリティがありますし、その後も容赦なく描かれ続ける大量自殺現象には尋常ではない緊迫感が走ります。ここまではかなりビクビクしながら観ていたのですが、この異常現象の正体が徐々に明らかとなる中盤以降は映画自体もおかしな方向へと進んでいきます。あっ、パンデミックはパンデミックでも、そういう話なのね。一連の異常現象の原因や感染経路はかなり異色で、正直途中からは一気にスケールが下がったような印象です。いかんせんこの感性経路ってのがあまりにも映画的ではないというか。「超常現象」で済まされる納得のいかなさや逃げ惑う人々を捉えた画のショボさなどからも、「数多ある中から何故”これ”を選んだんだろう」と思わざるを得ません。あとジェスちゃんの親子をあそこまで薄くしか描かないのなら、普通に最初から3人家族という設定でも良かったのではないでしょうか。おいレグイザモ!呆気なさ過ぎるよ! 奥さんに言い寄るジョーイとか植物学者夫妻とか住宅展示場とかは一体何だったんだ!あとクライマックスのあの展開はさすがに都合良過ぎるだろ!などと、ツッコミどころや疑問点は挙げるときりがありませんが、そんな本作も例に漏れずシャマランによるオリジナル脚本だそうです。逆に他のシャマラン作品も観たくなりました。バチっとハマる作品も見つかるかも? 奥さんの「笑わせてるつもり?」という問いかけに対するマーク・ウォールバーグの純粋過ぎる頷きは必見。
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