
星ゆたか

Death in Venice
Avg 3.4
2022.12.19 【座談会レビュー】第22回 「世界で一番美しい少年」というドキュメンタリーで、あの「ベニスに死す」に15歳で出演したビョルン・アンドレセンさんの波乱のその後の人生を紹介されていたので、その本元の映画の座談会です。 メンバーは星ゆたか、光みちる、風かおる、雲かすみ、雨あられ、水きよしさんの面々です。どうぞ宜しく😉👍🎶。 (星)そのドキュメンタリーもですが、ビョルン・アンドレセンさん。 「ミッド・サマー」(19)でヘンテコな儀式で自害する老人役が彼だったと知らされ。 『えぇ~!!』あの美少年がって、世界中の特にこの「ベニスに死す」を知っている人々は驚かされたんじゃないかな。白髪の長い上にアゴヒゲの顔からはとても想像できないもの。 (光)ルキノ・ヴィスコンティ(1906~1976)監督が本作映画化するにあたって、欧州の各地を探し回ってスウェーデンでやっと、求めていた少年だったんですもんね。 主演はダーク・ボガード(1921~1999)監督の演出について次のように話してます。『完璧主義というより緻密なんだ。子供の顔に当たるグラスや皿の反射など、細かい所までこだわる。』 監督は仕事が終わり帰ってから本を読み、眠りにつくのは大抵、日を越えた2時30分、それが私にとって最良の日なんだと言う。 (風)ビョルンは母親が11ケ月違いで異父妹を生んでいるボヘミアン。だから彼は父親を知らない家庭に育ち。その母親が窓辺で何も見えない暗闇をずっと眺めている姿を見て。 『僕が早く大人になってママを守ってあげよう』と思ったそう。でもその母親が彼が10歳の時失踪、数ヶ月後森で遺体で見つかるという、子供の心に大きな穴を開けた事件があったらしい。 (雲)何が何だか分からないまま、外国へ行けるというので映画に出演になったとか。原作はトーマス・マン。1912年に出版されている。主人公の作家アシェンバッハがベネチアで、出会った美少年に対する慕情を描いた物語。多分これは私の想像だけれども。ビョルンに対してヴィスコンティ監督が、『心の底で慕いする父親のような人に巡りあったんだよ。気になって見つめてウッスラ微笑みたくなるだろう』なんて演技指導したんじゃないでしょうか。 (雨)格調ある映像美で、今ならボーイズラブドラマ好きな女子にゾッコン映画になりますかね? 日本では71年(昭和46年)に公開「ある愛の詩」「小さな恋のメロディ」などが大ヒットして、この映画のビョルンくんは少女漫画にも多大な影響与えたそうです。例えばあの「ベルサイユのばら」など。これはこの漫画の作者・池田理代子さんが語ってました。 (水)そのビョルン兄妹を育てた祖母が熱心なステージママで、この映画の公開後人気の出た彼の日本行きを薦め、明治チョコレートのCMや日本語の歌の発売なども実施したらしいですよ。しかしこういう可愛らしい文化にいち早く飛びつき流行らせるパワーのすごいこと。日本人の特に女性は。 現在のビョルンさんは波乱万丈の人生のその後、妻子と一緒に自分は音楽教師をして暮らしているそうですね。 (星)ビサンチンの甘美さとゴシックの力強さが融合する街。アドリア海の花嫁と謳われたベニスをこよなく愛するヴィスコンティ監督。 原作は作家としての存在形式を、自己克服によって築いた主人公が、内面の空洞化と共に破滅するデカダンス現象を描いたものとして評価されました。 映画としては親友のデザイナー、ピエロ・トージの衣装が素晴らしいですね。その空間背景と密着してまるでイタリア絵画の名画を見ているよう。 豪華絢爛たる洋服・宝石と大きな帽子が当時の特徴だそうです。 撮影のパスクーレ・デ・サンテス。 冒頭の汽船が主人公を乗せて画面海面に浮き上がってくる光景場面から、観客を惹き付けてゆきます。 そこにゆったりと流れるグスタフ・マーラーの交響曲第五番アダージェット第四楽章。この曲を知ったということだけでも、数ある映画の中でも私はヴィスコンティのベストなんですが、皆さんの好きな作品もよかったら、一つずつ上げてもらいませんか。 (光)私は「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(42)監督デビュー作です。世界的評価は制作公開後三十数年経ってからという映画でしたけど(日本公開は1979年)。 また「ベニスに死す」の中では化粧した老人が船の上で話しかけてきますが、この変な化粧顔は、ホテルに訪れる男女混合の歌うたいの男もだし、さらに最後の主人公の“死に化粧”も同じ感覚でした。 (風)私は「白夜」(57)です。最初に見たのは、この作品より後に作られたロベール・ブレッソン監督作品(71)の方を東京の岩波ホールで見て、原作を気に入ってから、ヴィスコンティ版をNHKのTV放送で観賞したんですけど。 本作では主人公が自分の中の若い情熱と、初々しい芸術への息吹を少年から感化される様子が、思わずニンマリでした。さりげない表情やしぐさを、実に自然に見せてました。そこに監督の演出意図があるとか。 (雲)私は「夏の嵐」(54)かな。とにかく主演のアリダ・ヴァリさんには圧倒されました。 “ベニス~”ではコレラ発生を観光客事業で経済を回している街が、表向きに公表せず、しかし町中消毒液を撒き散らしてる辺りは本当に怖いです。 それと主人公の作曲家が幼い我が娘を亡くし、さらに仕事上でも酷評され、心身共々の憔悴した状況でのこの伝染環境ですからね。そのドラマツルギーの強さ! (雨)「イノセント」(75)でしょうか。主役のジャンカルロ・ジャンニーニさんがマルチェロ・マストロヤンニさんに似て好きなんです。この作品で舞台となったホテル〈デ・バン〉は閉鎖される冬の間に美術チームが改装して1911年当時の内装に作り上げたそうです。 (水)僕はアラン・ドロンの若い時の出演の「若者のすべて」(60)です。古い封建的な考えが新しい時代の中でどう変わってゆくかを見せられました。このベニスでは夏の避暑地の、しかもあの当時のクラシックな情景が、なんか新しい感じがしてクールでした。 (星)しかしこうやって聞いてゆくだけでもルキノ・ヴィスコンティ監督作品って、まだこの他にも色々な名作映画があって。「山猫」(63)「地獄に堕ちた勇者ども」(69)「ルードウィヒ・神々の黄昏」(72)「家族の肖像」(74)など有名です。 さすがミケランジェロ・アントニオーニ監督。フェデリコ・フェリーニ監督などとイタリア映画ならず、世界の映画界をリードしてきた、まさに“動く絵画”の殿堂入り映画人ってことでしょうか。 それでは今回もこれぐらいで サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。 ありがとう😉👍🎶ございました。