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島に集まった親戚一同が天候不順から翌々日までの滞在を余儀なくされ、顔を合わせて過ごすうちにそれぞれの胸の内に潜む秘密や負の感情を露わにしていく。 まさしくコメディ!って感じの作品だった。 集まった家族や夫婦はみな各々が切羽詰まった事情を抱えて苦しみに喘いでいるが、自分の問題に精一杯で他人のことになどかまっていられない。 時には子どものことさえぶん投げて、がなりたて、取り乱し、泣き、惚け、自分の感情ばかりを追う。身勝手なのにどこか清々しく、そしてどこまでも滑稽で哀れ。 この映画に教訓はない。 画面の中で繰り広げられる自分勝手な戦いに、見る側の私たちもまた画面の外から自分勝手な感情を抱き、島を離れれば、あるいは映画館を離れれば他人のこととして忘れ去っていく。 ドラマというほど深く、また押し付けがましくもない。まさしくコメディだった。 個人的にサラ役の女優さんの名演が光っていました。画面に出てくるたびに感じてしまうあの微妙な緊張、不快感、気まずさ…。最後の船の上で子供をダシにして夫にとある提案をする場面なんて、空気の切り替えにゾッとした。 歌とファッションと美しい島の風景、そしてそんなものをぶちこわす家族のゴタゴタ、示唆されるいくつもの不貞の未来。 ゲラゲラ笑うタイプじゃなくてジワジワくる作品です。すごく面白かった。
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