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『呪いを断ち切るためには誰かとセックスしろ』 冗談かと思うほどふざけた設定なのですが アングラな世界観と一見不可解な映像に隠されたメッセージ性、 シニカルな笑いと示唆に富んだ作りはかなりのマニア仕様。 多くの方が「これは性生活の乱れた現代の若者に向けた セーフセックス推奨映画だ」と解釈しているようですが、 私はちょっと違いました。 「呪い」が性病のメタファーであることは同意ですが、 不特定多数と次々にセックスしなければ 逃れられないシステムになっているのを考えると 監督の意図はそれだけではないように思えます。 呪いの恐怖から逃れるために男と寝続ける主人公。 しかし、愛の伴わないセックスをいくら重ねても 彼女の表情から曇りは取れません。 本作における呪いとは、動物的な欲求に流されて身を任せてしまった 背徳感(精神)や性病(肉体)の象徴であり だからこそ「何者か」の存在が常に本人の顔見知り(家族等)なのでしょう。 「性病に気をつけろよ」よりもずっと青臭くピュアに 「好きな人とだけしなさい」と諭しているのではないでしょうか。 劇中で読み上げられる「白痴」やひっそりと置かれた家族写真など アイテムの使い方も効果的で、リピート鑑賞でさらに理解が深まりそう。 この偏屈さをも愛してしまうホラー好きなら劇場で観る価値があります。
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