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ミュージカル「マイ・フェア・レディ」を、監督ジョージ・キューカー、主演オードリー・ヘプバーンで映画化した1964年のアメリカ映画 ・ 第37回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞(レックス・ハリソン)など8部門を受賞した ・ ロンドンの下町、夜の巷で花を売っていた少女イライザ(オードリー・ヘプバーン)。そこへたまたま通りかかった言語学の教授ヘンリー・ヒギンズ(レックス・ハリソン)は、彼女の余りにもひどい訛りに対し、正しい発声と淑女としての行儀を身に付けさせ、社交界に出そうとする…。 ・ 日本にもミュージカル版が名前の由来となったフェアレディZなんていう車があるけど、オスカーを総なめにしたこの映画版はあまりにも有名だ。オードリー・ヘプバーンの代表作の1つとして知っている人もいるだろう。 ・ 監督のジョージ・キューカーは女性映画の巨匠として君臨した監督で、彼の映画に出演した女優たちは、みな高く評価された。日本の女性映画の巨匠と言ったら、もちろん成瀬巳喜男監督だが、キャサリン・ヘプバーン、イングリッド・バーグマン、オードリー・ヘプバーンを輝かせたアメリカの巨匠も、女性映画を語る上では外せない人物だ。 ・ 階級社会が色濃く残るイギリスで、下町の田舎娘が社交界へデビューするサクセス・ストーリーは、おそらく多くの女性のツボだろう。ロマンティック・コメディとしてもよく出来ていて、ただのサクセス・ストーリーでは終わらない。中でも目を引くのは、華やかな衣裳だろう。アカデミー衣裳デザイン賞を受賞した衣裳にときめく人も多いはず。 ・ みすぼらしいく下品な田舎娘から、華やかなレディへと変貌を遂げるイライザを演じたオードリー・ヘプバーン。日本ではその美貌ばかりが取り上げられるが、未だ数えるほどしかいないアカデミー賞、トニー賞、エミー賞、グラミー賞を全て受賞した偉大な女優だ。「ローマの休日」で世界に知れ渡ったオードリーの魅力は、この作品でも変わらない。 ・ これは有名なエピソードだけど、大ヒットしたミュージカル版ではジュリー・アンドリュースがイライザを演じていたのに、確実に稼げる女優としてオードリーがイライザ役となった。ヒギンズ教授役のレックス・ハリソンやイライザの父親役のスタンリー・ホロウェイは舞台から引き継がれた。 ・ そしてアカデミー賞で「マイ・フェア・レディ」が賞を総なめにする中で、イライザ役を外されたジュリー・アンドリュースが、「メリー・ポピンズ」で主演女優賞を受賞するという結末。受賞を逃したオードリーは、スタッフに八つ当たりをした。ジュリー・アンドリュースが自分で歌っていたのに対し、歌が下手なオードリーは吹き替えだったのが要因だと言われている。 ・ オードリー自身も歌をレコーディングしていたらしいけど、下手だから吹き替えにされたので、イライザが歌うシーンは、歌と口の動きに若干ズレが生じている。あれだけ美人で演技も上手いんだから、歌が下手っていうのは、むしろ親しみを感じる。それにしてもオードリー・ヘプバーンはいつ見ても美しい。 ・ おそらくこの作品の影響を受けたんじゃないかと思われる「プリティ・ウーマン」と、オスカー受賞作品「英国王のスピーチ」を足して2で割って、ミュージカルにした作品というのが、個人的な感想かな。女性が綺麗になって成功する映画を嫌いな女性なんていないはずだから、世界中の女性にお薦めできる作品。
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