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仮面殺人鬼も大変! スラッシャー映画の殺人鬼がおバカな若者たちを血祭りにあげていく姿を密着取材したメタ的モキュメンタリー。前座な殺害対象選びやファイナルガールの選出といった緻密な計画を練るところから、「終わり」まで全て殺人鬼側で見せてくれるスラッシャーの舞台裏。これは斬新なアプローチ!! 『ハロウィン』のマイケルマイヤーズ、『13日の金曜日』のジェイソンボーヒーズ、『エルム街の悪夢』のフレディクルーガーが実在した世界線。諸先輩方が作った定型を踏襲して殺人をおっ始めようとするレスリーヴァーノンさんにインタビューしつつ、下準備から全て見せてくれるのが最高に楽しい! まずは20年前に親を殺して町人に殺された悪魔レスリーヴァーノンが復讐に舞い戻ってくるっていう伝説を町人に信じさせるところから始まり、殺人鬼あるあるな瞬間移動や、走ってる相手に徒歩で涼しい顔して追いつくためのトレーニングに汗を流し、体育会系でヤリチンヤリマンな前座的な奴らとファイナルガールを選び始める。 そして、「暗闇から誰かが自分を見てる…でももう一度見たら誰もいない」というニアミス演出を緻密な計画のもとファイナルガールにかまして大喜び。それでどんどん不安を募らさせていく。殺人鬼も大変やな! 『ハロウィン』のルーミス医師のような殺人鬼を密かに追ってるキャラにロバートイングランドを配するセンスも堪らないし、スラッシャーの定石的に「殺人鬼は殺されるか逮捕されるかだ」と自分の結末をわかった上で行動するヴァーノンさんの本気度には泣けてくる! スラッシャーの定石的な設定・展開を分析的に捉えてるところにも好感持てたし、それらを全部伏線回収としてクライマックス付近で盛り込んでくることで、ファイナルガールの行動に厚みを持たせていく茶化した笑いによる照れ隠しな作風も好き。
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