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井筒和幸が監督生活35周年を記念して手掛けた2010年の日本映画 ・ アルバイトでヒーローショーの悪役を務めるユウキ(福徳秀介)。バイト仲間のノボルが、ユウキの先輩である剛志の彼女を寝取ったことから、ある日ショーの最中に激しい殴り合いが始まる。それだけにとどまらず、剛志は悪友たちと共にノボルをゆすろうとするが、ノボルも自衛隊出身の勇気(後藤淳平)を引き入れ、対抗する…。 ・ 「岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS」、「パッチギ!」など、井筒監督の描く青春には、いつも暴力が付き物だ。決して暴力を肯定しているわけではなく、エネルギーのやり場のない若者の象徴として暴力が描かれている。暴力と人情こそが井筒監督の作品らしいが、この作品はあまり人情味はない。 ・ 他の作品より、さらにブラックに暴力を描き、ぬるく生きてきた若者の葛藤を描いている。その上、笑わせるところなんかもあるからうまい。途中までの展開は、なかなかユーモアもあるが、後半からはけっこう暗い展開なので、覚悟が必要。 ・ ダブル主演はジャルジャルの2人。福徳が演じたユウキは、何をやっても中途半端な男という役。ヘラヘラしながら、何とかその場を取り繕う様が可笑しかった。コントでやるようなキャラだったから、福徳にはやり易かったんじゃないかな。 ・ 後藤が演じた勇気は、自衛隊上がりのケンカ自慢。強い田舎のヤンキーで男らしいが、思慮は浅い。多少、ワンパターンな演技だった気もするけど、いつもの後藤と全く違ってて、演技力が光っていた。 ・ 井筒監督って、「岸和田~」の時のナインティナインといい、芸人の使い方が上手い。コントとかしてる芸人って、舞台度胸もあるし、けっこう演技が上手い人が多い。ジャルジャルもコントが得意だから、演技もしっかりしてて見応えあったと思う。 ・ 井筒監督をテレビで観て、強面なうるさいおじさんだと思ってる人には、井筒監督の作品を観てもらいたい。この人は、まごうことなき映画監督なんです。ただ、ちょっと使う音楽のテイストが古いけどね。
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