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ロバート・A・ハインラインの小説『宇宙の戦士(Starship Troopers)』を実写化したSF戦争アクション。 実写映画は全部で3作品、アニメーション映画も2作品製作され、遂にはゲーム化もされた大人気シリーズなのだが、その第一作目となる本作は興行的には失敗したらしい。それでも、過激描写やブラックユーモアなど【ポール・ヴァーホーベン節】は炸裂しており、「人類VS地球外生命体」というありふれたジャンルながら、他に類を見ない独自の世界観を見事に作り上げている。 特にゴア描写には力が入っており、人体は真っ二つになるわ、両足はもぎ取られるわ、おまけに脳みそは吸い取られるわ、と一度観たら忘れられないようなグロシーンのオンパレード。しかし、本作は、そんな映像のインパクトを追求しただけの映画ではなく、随所にプロパガンダCMを挿入するという「反戦映画」的な要素までも含まれている。ナチス・ドイツのプロパガンダ映画『意志の勝利』をパロることで、全体主義社会やナチズムをあざ笑うような皮肉を込めているのに、これを「ナチズム礼賛映画」と酷評した『ワシントン・ポスト』紙はホントにセンスないなぁと思う。ナチス占領下のオランダで幼少期を過ごし、ナチスの脅威を生身で感じていたであろうヴァーホーベン監督がそんな映画を作るわけがないでしょ。 とは言いつつも、本作はそのメッセージ性を全面に押し出した作品ではないので、あまり反戦的なことを考えずに頭を空っぽにして観ても十分に楽しめる内容になっています。
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