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2020年68本目は、ジム・ジャームッシュ監督がまさかのゾンビ映画に挑戦した『デッド・ドント・ダイ』。 ------------------------------------------------------------ ゾンビ×ジャームッシュの組み合わせは本当に意外なのですが、蓋を開けてみれば相変わらずダウナーでオフビートな空気感が全体を支配しており、良い意味で安心できます。アダム・ドライバーが容赦なくゾンビを虐殺する姿はまさに「ダースベイダー」で、スターウォーズを出演作のたびにネタにされ、何だか可笑しいやら悲しいやら。他にもビル・マーレーやダニー・グローバーら名優が脇を固め、磐石の布陣です。 ----------------------------------------------------------- 映画のあちこちにはジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』へのオマージュが見られ、分かる人にはニヤリとさせられるシーンが幾つもあると思います。また、ゾンビが死んだ後も自分の好きだったものに執着し、ブツブツと呟きながら彷徨っているのを見ると何だか「哀れ」でなりません。哀愁を誘うゾンビ像はなかなか斬新なのでは。 ------------------------------------------------------------ ただしキャラクターがこれだけ登場するにも関わらず、ほとんどが「使い捨て」にしか感じられない処理の仕方となっていて、全体的に何がしたいのかが分からない散漫さを感じます。登場人物同士の掛け合い・話の展開・オチの付け方、全てにおいてダラッと力が抜けており、いくらジム・ジャームッシュとは言えこのメリハリの無さは「凡庸」と称されても仕方のないところです。
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