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クリストファー・プリーストの小説『奇術師』を原作とする、2006年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の長編第5作目。 19世紀のイギリスを舞台に2人の奇術師による敵対心と復讐心の入り乱れた壮絶な騙し合いが展開されるという、ある意味非常にフィクショナブルな物語を重厚かつスリリングに描いた”これぞノーラン”と言うべき作品です。2人の争いが次第に激しさを増す緊迫感もさることながら、やはり衝撃的なのはクライマックスですね。驚愕の展開に驚かされるのはもちろん、冒頭のセリフから刷り込まれていた”3つのパート”をも踏まえたあのラストにはまんまと感心させられました。 本筋であるミステリー要素の他にも、取り憑かれたような欲望と狂気性が見え隠れする2人の人間模様、時系列の入り組んだ巧妙な語り口など、様々な角度からこの作品世界を楽しむことのできる濃密な一作です。 ラストショットが一番怖い映画。
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