
dreamer
4 years ago

Mother Joan of the Angels
Avg 3.6
このイェジー・カワレロウィッチ監督のポーランド映画「尼僧ヨアンナ」は、閉鎖的な環境の中で抑圧される人間たちの姿に、1960年代のポーランドの苦悩を投影した映画史に残る秀作だと思う。 17世紀のポーランドの村はずれの荒れ野にある尼僧院で、院長ヨアンナ(ルツィーナ・ウィンニッカ)をはじめとする尼僧たちが、悪魔に取り憑かれる。 その調査と悪魔祓いに、教会から一人の神父が派遣されるが、悪魔祓いどころか、ヨアンナに欲情したことが発覚して火刑となり、新たにスリン神父(ミェチスワフ・ウォイト)が差し向けられる。 彼は村の宿屋から尼僧院へ通い、自身に数々の苦行を課して悪魔との闘いに備え、ヨアンナと対決する。 だが、彼女と格闘を続けるうちに、その心の奥底に潜む人間的な苦悩を知り、自分が悪魔を引き受けて尼僧たちを救おうと決意し、ヨアンナを抱き、なんの理由もなく従者と宿屋の下男を殺す。 そして尼僧たちに、悪魔がヨアンナから自分に移ったことを伝えさせるのだ。 かくて尼僧院は、平常に戻ったかのようになるのだが-------。 抑圧された人間的な欲望が爆発して起こる集団ヒステリー。 そのすべてを悪魔の仕業として弾圧するカソリシズムを批判しつつ、ナチス・ドイツに続くソ連のスターリンによるポーランド圧迫に対する激しい反撥を底に秘めた作品になっていると思う。 イェジー・カワレロウィッチ監督の演出は、米英仏独伊からソ連までのどこの国の映画にも見られないような、独特の映像感覚による画面構成で、荒涼として神秘的なムードを醸成し、個々の場面のリアリスティックな描写には鬼気迫るものを感じてしまいます。