Comment
まだ記憶に新しいボストンマラソンテロ事件で両足を失いながらも生還した、ジェフ・ボーマンさんの実話を原作とするドラマ。ハンデを乗り越えてどう人生と向き合っていくかを描くのかと思いきや、映画の大部分はジェフさんがいつの間にかボストン市民の勇気の象徴として祭り上げられ、身も心も疲弊していく様子を中心に描かれます。 これが予想以上のダメ男っぷりでイライラさせられるに違いないですし、「承」部分にほとんどの時間を割いてしまった為、彼が見事なカムバックを果たす「転結」に至っても、聖人のような彼女エリンが不憫に見えるだけでスキッとしない…という声もあるかと思います。 それでも私は当時のジェフさんを取り巻く状況はやっぱりあまりに無神経だと思う。特に酷いのが周りの家族で、彼が世間の注目を浴びることしか考えず、退院初日から狭い家に大挙して押し寄せてパーティーしてる時点で思いやりの欠片もないです。他人を救う英雄となる前に、最も救いの手を欲していたのが彼自身だということを、何故一番近くにいた家族が理解してあげられなかったのかなと。 人は辛い時悲しい時にお互いに支えあって生きていく生き物で、その意味では誰だって誰かの「英雄」になれるんですよね。そういうメッセージをちゃんと汲み取ることが出来ているなら、こんな「ダメな僕だから英雄になれた」なんて検討外れの副題は付けられないと思うんですけど…配給会社もちょっと思慮が足りない気がします。
5 likes0 replies