
ジュネ
6 years ago
4.0

BlackkKlansman
Movies ・ 2018
Avg 3.5
2019年57本目はスパイク・リー監督久々の新作『ブラッククランズマン』。クー・クラックス・クランに潜入する黒人とユダヤ人の警官の顛末を時に皮肉や風刺を交えて愉快に、時に実際のニュース映像を交えて辛辣に抉り取った、凄まじくパワフルな一作です。 全体としては愚かで傲慢な白人の差別意識や偏見にまつわる描写が目立ちますが、劇中では黒人側が正義として、一方的な被害者として描かれることもありません。同情の余地はあれど、すべての警官を悪人と決め付け、多数の犠牲を呼ぶかもしれない革命へと突き進んでいく彼らには違和感を覚えるはずです。 ここで描かれるのは「憎しみあうこと」それ自体です。本作では憎しみの歴史が映画によって助長されてきた問題点にも触れており、特に、同じ業界人でありながら『国民の創生』がクー・クラックス・クランの再起に悪影響をもたらした点をここまで堂々と指摘するのは凄すぎると思いました。 一番深刻なのはこれが現在進行形であることで、アメリカでは銃撃事件や暴行・ヘイトクライムによって被害を受ける黒人やヒスパニックの人々が後を絶ちません。日本が多民族国家となる日も決して遠くありませんが、10年20年後の次世代でも肌の色や言語を問わず、「道に迷っている人がいたら助けてあげる」「財布が落ちていたら交番に届けてあげる」、そんな私たちでいられたら…と望むばかりです。