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賛否両論あるのが解る気がする。 まずは、主役3人の女性の行動や言動(文学的、哲学的な言動も含めて)が理解不能である。多分、確信犯的なのだろうが、女性心理など最初から解らない・・というスタンスの、逆説的で一方的な男性から目線の描写であると思う。恐らく女性からの支持は皆無であろうと思われ、その意味で言えばポルノ映画といっても良いかもしれない。 さらに、肝心のミステリー部分(つまり殺したのは誰か? どうやったのか?というところ)が極めてありきたりである割には、きちんと描写されない。これにはフラストレーションが溜まるし、これに行き着く捜査の過程もあいまいであり、何より水野扮する主人公が全く活躍しない。 しかし、数ある欠点をもって余りあるほど、この映画はつまり「園映画」なのだと思った。 「冷たい熱帯魚」での、でんでん扮する村田がそうであったように、言葉のシャワー、詭弁の噴水により、対面者の抑圧されていた人格(極めて邪悪である)を覚醒させる。これが凄い。 神楽坂扮するいずみが、その被害者というか、一番覚醒させられた人格なのだろうが、シャワーを浴びせる本人もまた、自己の言葉によりさらに邪悪になる。また、美津子の母親の台詞・・・、これがまた凄い。「上品」、「下品」を連発するのであるが、極めて毒性の強いウィルスのような言葉をばら撒いており、多くの観客の全身症状を悪化させたであろうと思われる。 ともあれ、145分をどっぷり監督の感性に浸かっていられるのかどうかで、評価が割れるのではないかと思う。
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