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dreamer

dreamer

4 years ago

2.5


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Portrait of a Beauty

Movies ・ 2008

Avg 3.0

外国映画に昔の日本や中国が登場すると、綺麗すぎて居心地が悪い、というような感じがした事がよくあります。 異郷の地を飾り立てられると、何か変に感じるのです。「ラスト サムライ」や「SAYURI」がそうでした。 しかし、オリエントを飾り立てる嗜好は、西洋だけのものではありません。東洋だって過去を美化してきたわけで、市川崑監督の「細雪」や「古都」はグラフィックデザインのように華麗だった。 そしてそれは、日本ばかりではなく、チャン・イーモウ監督の「上海ルージュ」やアン・リー監督の「ラスト、コーション」などは、"失われた過去"だから許される耽美で満たされていたと思う。 つまり、オリエンタルによって製作された"オリエンタリズム"で、この映画「美人図」も、そうした韓国版のオリエンタリズム映画なのです。 18世紀末に活躍した絵師シン・ユンボクが、実は女性だったという設定ですが、これがもう市川崑とチャン・イーモウとアン・リーを足したような作り方で、宮廷のセットはもちろんの事、街角のたたずまいから自然の風物に至るまで、まるで旅行会社に飾られたポスターのように綺麗です。 その綺麗すぎる舞台の上で、男として育てられたきた天才絵師の少女の性の目覚めが、「ラスト、コーション」に匹敵するほど大胆に、というよりは露わに描かれます。 過去の美化と性の美化が、スクラムを組んでいるような感覚の映画なのです。 このように綺麗な映画なのですが、出てくる人の誰をとっても、衣服は古風なのに時代を感じさせないのです。 天才絵師の少女を演じたキム・ミンソンは、笑顔の美しい人ですが、すっきりさっぱりとしていて、微妙なニュアンスというものが、全く感じられません。 相手役のキム・ナムギルが演じたガンムは、貧しいけれど何ものにも束縛されない、自由な青年という役柄で、これはもう「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオそのもののようです。 こうした現代人としか思えない美男美女によって、現代を舞台にしたら観る者がふき出してしまいそうなほど、ナイーヴな恋物語が語られるのです。 西洋は東洋をわかっていないなどと、いつも言われていますが、実は東洋も東洋を仮構しているような気もします。 この映画を観終えて思ったのは、作り物の過去に逃れようとする、現代の空白を感じてしまった事です。