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いかにも殺人犯が出そうな歪んだ家族のテンプレのようだけど、こういう父親も、こういう母親も、こういう長男も、こういう次男も案外普通にどこにでもいると思う。 思い返すと、新築祝いのシーンの描写が絶妙だった。ちょっと男はこうあるべきという姿に頑固だったり、ちょっと甘ったれだったり。ある時点で突然何かが起きて事件が起きた訳じゃなく、そんなちょっとが段々と積み重なり、段々と度を越して行って事件が起きた。そんな、決して他人事じゃないリアルな点が恐ろしい。 事件自体や直後などを敢えてちゃんと描いていないところも良い。この映画の場合、マスコミが騒ぎ立てたり裁判で母親が泣き崩れるシーンがなどあったら一気に安っぽく、いかにも作り物な映画になっていたと思う。タイトルは「葛城事件」だけど、あくまで事件の話じゃなくて、これは家族の話。 そんな中、田中麗奈の役所が1番異質で不気味だった。殺人犯の心情以上に理解できないし、理解できたらいけない気もする。
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