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原作は魚喃キリコの同名漫画。監督は「ローリング」の冨永昌敬。出演は臼田あさ美、オダギリジョー、光石研ら。やくしまるえつこが音楽監修、劇中歌制作で参加。 ◆ストーリー 同棲する恋人ツチダが生活費を稼ぐためにキャバクラ勤めをしていることを知ったせいいちは、まじめに働き始める。そんな折、ツチダがかつての恋人ハギオと偶然再会し、ハギオにのめり込んでいくが……。 ◆感想 音楽が好き。好きな音楽を歌う人が好き。そんな音楽を作り上げる人が好き。そのためなら、自分の全部を捧げてもいい。なんだか複雑なようでとてもストレートな、今どきな恋愛事情が描かれた作品だと思う。 多少フラついてはしまうけど、とにかく音楽が、せいいちが作る音楽が好き。ラストで溢れ出るツチダの涙や、体を売ってでもせいいちのために作る金、吹奏楽を経験し、ライブハウスで働くツチダの全てがそんな音楽を楽しむ事に集約されていたと思う。 と同時に、主人公ツチダのどこかウェットで、どこかドライな恋愛感。「せいいちにフラれたい」「ハギオはいつかいなくなる」どこか自分を俯瞰で見ながら、でも男にのめり込んでいく、どこへ向かうのか分からない恋愛ドラマは単純に見入ってしまう。 臼田あさ美とオダギリジョーの演技力も光る。臼田あさ美のラストの溢れる涙や等身大の違和感ナシの演技、逆にザ・ひょうひょうなハギオのキャラに徹したオダギリジョー。せいいちが家で気をきかせるも、「そうすか」と甘えかけてしまうハギオには吹いた笑。 抑揚の激しい映画ではないけれど、なんだかどこにでもありそうな日常的で等身大の恋愛観が描かれた映画。こういう映画はなぜかホント見入る。
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