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三谷幸喜が監督と脚本を務めて製作された2019年の日本映画 ・ 史上最低の支持率を記録した内閣総理大臣・黒田啓介。国民に嫌われている黒田は演説中に石をぶつけられ記憶を失ってしまうのだが、記憶喪失を隠したまま総理の仕事を続けることになるといった展開 ・ エンターテイナー三谷幸喜。この人はウディ・アレン監督みたいに捻くれ者なので、笑いもとりたいし、メッセージも込めたいという願望を全部詰め込んじゃうんです。普通の映画では本筋に関係ない脇役なんて軽く扱うのが当たり前なんだけど、三谷幸喜は脇役に個性をつけ過ぎる。最早、邪魔になるぐらい目立つ脇役。それが気になった時点で三谷ワールドに引き込まれているんです。こういう描き方はコメディ漫画っぽい。しかも三谷作品の脇役は有名俳優だったり芸人だったりと豪華 ・ 支持率の低い内閣総理大臣を主人公にして、日本の政治に皮肉たっぷりな内容にしているところが三谷幸喜らしい。日本の政治は最高だぜ!なんて人はいるわけないので、こういうブラックコメディはウケるに決まっている。でも政治への皮肉なんて関係ないぐらい、普通に笑えるシーンも多い。やはり三谷作品は笑えてなんぼ。全シーンが面白いわけではないんだけど、誰かしらにヒットしろと言わんばかりに、数打ちゃ当たると笑いを散りばめまくる。なので根負けして笑ってしまう ・ 主演の中井貴一。髪型は変わらないが名優なのは確か。記憶を失った嫌われ者というユニークな役柄を、見た目は真面目そのものの中井貴一が演じてる時点で面白い。側近役でディーン・フジオカ、小池栄子の2人も大活躍。朝ドラで国民の心を掴んでいる草刈正雄はまさかの悪役。この人は悪役でもカッコいい。それにしても三谷作品はやたらと出演者が豪華で楽しい。お馴染みメンバーの佐藤浩市も出演しているけど、なんかかなりおじいちゃんになっててびっくり。というか三谷作品の俳優陣の平均年齢高いな。映画界も高齢化社会ですね。これは洋画もそうなっている。若い才能があまり出て来てないってことなのかな ・ 三谷幸喜の作品はほとんど観ているけど、彼の作品の良さは嫌な気分になることがないことだ。悪役と登場してもそれすら笑いにしたり、憎めない描き方をする。笑った記憶とそこそこに清々しいラスト。そんな記憶しか残らないので、あまり悪い印象を持つことはない。もちろん好き嫌いはどんな作品にもあるだろうけど、老若男女、誰が見ても楽しいと思えるんじゃないかな。やはり三谷幸喜はエンターテイナーだった
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