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この作品は映画ではありません。ただのポルノです。 映画は「おもしろい」か「つまらない」で評価できるのだが、ポルノになるともう「使える」か「使えない」かです。 そしてこの作品はエロスの氾濫する世を生きる現代人からすると「使えない」。つまりカスです。はい。 本作の製作の背景にあるのは、60年代当時のポルノ産業への厳しい規制でした。その抜け道として、本作のように数分の茶番を合間合間に挟んで「映画」として公開するという手法がとられていたそうです。 そんな社会に消費され、時代とともに消え行く三文ポルノが今日まで残っているのも、ひとえに「史上最低監督」の異名を戴く巨匠、エド・ウッドが制作に関わっているおかげなのでありました。 ユルさとキツさの両極端が渦巻く社会と人々のジレンマに満ちた社会からひりだされた一本グソ…、もとい一資料としてなら価値があるのかもしれない。 今や映画好きが通る登竜門のひとつのような扱いですね。それにしても、まさかTSUTAYAでレンタルできるとは思わなかったよ。 いい時代になった…のかな。 カルト作だけあって、スクリーン内外には濃いエピソードが並びます。 アル中のクリズウェルはセリフもろくに覚えず酔っ払いながら現地入り。スタッフも別にいいかとそのまま撮影開始という意識の低さ。虚な目でカンペを見ながらそのまま喋るだけ、という有り様が本作を象徴している。 さらに、この一作でスターダムにのしあがれると思い込んでいた主演女優に、日本で話題になった時、本気で評価されてると勘違いして売り込みかけてきた監督など、かなりズレた面々がズラリ…。これにはエド・ウッドも舌を巻いたかもしれません。 一応内容を書くと、トップレスモデルが延々と気の抜けた踊りを披露し、交代する合間にホラーチックな茶番を挟むといった感じです。 ただ、サントラはダウナー系の気だるい感じで結構クセになります。トップ画面で流れるインド踊りの曲なんかは気に入ったのでよく聴いてます。恥ずかしいけど。 モデルたちのルックスも悪くないです。が、踊りがとにかく長くて退屈。こんなの何本も続けて見たらマジで気が狂うと思う。そして何より、女体を見るのが嫌になりそうなのが苦痛だった。「時計じかけのオレンジ」のアレックスの気持ちがよく分かりました。
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