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 軍隊それも徴兵制の中でのイジメ等々の人間関係の話し。佐藤純彌監督の『陸軍残虐物語』の韓国版って感じ。陸軍残虐物語とは違って今作には西村晃が演じていた様な強烈なイジメる人が出て来ない。同室の上官が主だったイジメ役だけど余り悪意を感じ無くて、むしろイジメられる側のスンヨンの方が人付き合いが下手で他人を小馬鹿にしている所が合って、見ていて悪感情を懐いてしまう。後に後輩でジフンが入って来てスンヨンがジフンを庇う様になるけど、多分ジフンが他の先輩に付いていたら普通に軍隊生活を送っていたんだろうなぁとも思う。スンヨンが正したいと言っていた慣習も、直した所でスンヨンの息苦しさは変わんなかったと思う。結局は目的の無い不特定多数の人を、逃げ場の無い集団生活に押し込めて、本人たちに自治させようとすると、スンヨンみたいな周りに馴染めない人間はどうしてもはみ出てしまうんだろうなぁ。学校ならまだ逃げ込む先を探せそうだけど、徴兵制の軍隊だと逃げる事も許されず、無理矢理引き戻されて益々周囲との軋轢が深まって追い詰められるんだろうなぁ……とやるせなさを感じる作品だった。  ハ・ジョンウ演じる主人公のテジョン以外の三人の主要キャラが良かった。(ハ・ジョンウのキャラはどちらかというと傍観者なので普通) イジメる役の上官は、ただ下品でデリカシーが無くて厚かましいだけのウザい部活の先輩みたいな人でそこまで害悪を感じない。こういう人いたなぁって思うと同時に、自分も後輩や部下にこういう風に見られていたんだろうなぁっと思うとお腹が痛い。多分殆どの人は悪役と感じ無いだろうし、むしろ人懐っこくて面倒見の良い先輩かもなとも思う。 イジメられる側のスンヨンはインテリだけど人付き合いが苦手で人との距離感が取れない。人見知りで中々本心を云わなかったり打ち解けられないけど、仲良くなると今度は相手の事を考えずに一方的に振り回す。こっちの方がより自分を見ているみたいでやるせない。 スンヨンの後輩のジフンは一番弱い立場で、スンヨンは何かと気にかけて守ろうとするが、次第にスンヨンの言うことを聞かなくなって、当たり前に違反行為をする様になる。おそらくスンヨンが優しくしてくれるのが当たり前になって、敬いや恐怖感を感じなくなってしまったって事なのかな?でもジフンが特別おかしい奴ってよりは、スンヨンの接し方だと誰でもこうなってしまう気がする。これも自分に心当たりが合ってお腹が痛い。 三者三様で自分に思い当たる節が合って胸にグサリと来るキャラだった。
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