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【エンドロールで重みが増す映画】 エンドロールのラストに放つ強烈なメッセージ。音楽と歌唱力に酔いしれ、見せつける秀逸な脚本力もさることながら、本作が一本筋の通った骨太映画である事がラストでビリビリ伝わってくる。 ◆トリビア ○映画版とミュージカル版では結末が違う。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ディア・エヴァン・ハンセン_(映画)) ○原作は、米演劇界で最も権威のあるトニー賞で6部門を独占し、グラミー賞、エミー賞にも輝いたブロードウェイミュージカル。(https://eiga.com/movie/95451/) ○原作ミュージカルは、ブロードウェイで初めてSNSを題材に扱った。(https://deh-movie.jp/) ○ミュージカルは2部構成だか、映画は3部構成。映画用に2曲の新曲が追加された他、エヴァンの告白の動機も異なる。(https://news.yahoo.co.jp/articles/1d7d0bdaa69a6c533a075416529dc0ec30dd7f83?page=2) ○三浦春馬が生前、原作ミュージカルへの出演を切望していた。(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/20210910-00257374) ○主演を務めたベン・プラットは、本作プロデューサーのマーク・プラットの息子。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ディア・エヴァン・ハンセン_(映画)) ◆概要 【監督】 「ワンダー 君は太陽」スティーブン・チョボウスキー 【音楽】 「ラ・ラ・ランド」ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール 【出演】 『ピッチ・パーフェクト』ベン・プラット(ブロードウェイ版の初代エヴァン役) 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』ケイトリン・デバー 『ヘイト・ユー・ギブ』アマンドラ・ステンバーグ 『キングスマン:ゴールデン・サークル』ジュリアン・ムーア 『メッセージ』エイミー・アダムス ◆ストーリー 学校に友達もなく、家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが自分宛に書いた「Dear Evan Hansen」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。エヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語っていくと、そのエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていく。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆骨太 エンドロールのラストにクレジットされた、自殺志願者へのメッセージ。一見、煌びやかに心情を歌い上げるミュージカルであり、エヴァンを通してSNSの明と暗を浮き彫りにする今どきな描写や、嘘をついたエヴァンの行く末に着目する本作。それが、エヴァンの骨折が自殺未遂によるものだと分かり、コナーとエヴァンのシンパシーに繋がり、そしてラストのメッセージで一気に映画の一本筋として組み上げた本作の骨太さ。あれがあるのとないのでは、まさに骨付き肉と骨なし肉の違いと一緒で、食べ終わった後に残る映画の重厚感が全く違っていたと思う。 ◆脚本力 そんな骨太さもさることながら、至る所に脚本力が感じられる本作。コナーだけでなく、エヴァンも自殺志願者だったという事実。映画版で書き加えられたという(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ディア・エヴァン・ハンセン_(映画))、エヴァンがコナーを知っていく事でかえる懺悔と償い。そしてそれが家族からの赦しに繋がる。中盤では、エヴァンのゾーイへの想いが、コナーからの思いとしてリンクしていく。素晴らしい発想力だと思った。 ◆歌唱力 冒頭で始まるエヴァンの(ベン・プラットの)歌声にまず度肝を抜かれた。「You Will Be Found」や「Anonymous」、どの曲もどの歌唱力も一級品で、耳残りがいいものばかり。ミュージカル映画はどこかで敬遠しがちな自分だけど、本作は彼らの繊細で時に力強い歌声にシンプルに感動しました。
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