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戦闘メインの映画ではなく内部が主題。 『日本のいちばん長い日』のような日本人同士の争いです。 史実系の映画ではいつもですが、とくに太平洋戦争の話は日本が負けるという日本人にとっては超絶ネガティブなネタバレがあります。なのでどういうエンディングを迎えて、幕を引くのかが気になるところですが、うまくまとめられています。 一度は、大和の建造阻止という目標を達成し史実と違うハッピーエンドを見せながら結局のところ、史実通りのバッドエンド。 対外国戦で負けたことのない日本。 日露戦争では土台無理な戦争で、誰が見ても敗北必死で「開戦=死」の状況を国が死ぬ間際で勝った。 文字通り死力を尽くして戦い、引き時を考えずギリギリの勝利を自力でつかみとった。 その経験は驕りになり、かならず日本を滅亡に導く。 そんなことにならないよう大和の撃沈で決着を見せつける。 日本人に敗戦を認知させ、引き際を教えて夢から醒ますように。 そんな願いも虚しく、結局は大和の撃沈ですら止まらず、2発の原爆によって息の根を止められましたが、 「軍部の大局感のない暴走による大和」ではなく「日本人に次に繋がる負け方を教えるための大和」 こんな考え方もあったのかと驚きました。 そして 今日の、愛国心はカッコ悪いみたいな風潮がある自虐的な日本人には、大和は身の程知らずの馬鹿な日本人がやらかした恥の一部と思われています。 それを否定してくれる映画です。 偉大な日本という国にはそれを支えた素晴らしい人々がいる。 敗戦はただの結果でありそれをどう受け止めて、どう歩んでいくか。 スカッとする分かりやすいサクセスストーリーとしても楽しめ、史実と照らし合わせてその意義を考えることでゆっくりじっくり味わうこともできる。 そんな深みのある映画でした。
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