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2020年118本目は、シャイア・ラブーフが自らの体験を記した手記を映画化したドラマ『ハニー・ボーイ』。 ------------------------------------------------------------ 本作を真に理解するためにはシャイア・ラブーフの人生に肉薄する必要があります。一時期は「第2のトム・ハンクス」とまで称されたシャイアは、度重なる逮捕・奇抜な言動・盗作騒動で信用を失い、終には飲酒運転で指を2本失う大事故を起こします。施設で下された診断は「PTSD」。その根底には父ジェームズの存在があったわけですが、こいつが劇中でも描かれる通り、まるで共感できないんです。 ------------------------------------------------------------ ジェームズは戦地ヴェトナムから「草」を持ち帰り、ハワイで栽培して売りさばいていた本物の麻薬売人で、未成年の少女を暴行した容疑で起訴されています。彼はその訴追を逃れ、現在はコスタリカで暮らしているんだとか。更にシャイアは精神を病んだ真の理由として、幼いころに母親が目の前で複数の男性にレイプされるのを目撃したことを語っていて、あまりの劣悪な環境に言葉もありません。 ------------------------------------------------------------ 映画では描写がノア・ジュプ君の愛らしい顔立ちや存在感、90分とコンパクトにまとめられた尺のおかげで「かなりヌルめ」に押さえられています。リハビリの一環で書かれたノートが原案だからなのか内容も断片的で、見ている私たちは彼の決断を半ば強制的に「受け入れる」ことしかできません。正直なところこんな奴と和解する気がしれないんですけど、それでも本作が絶賛を浴びたのは、シャイア・ラブーフが俳優として第2の人生を歩み始めたことに対する祝福なのかもしれません。
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