
やかん
2 years ago

The Lover
Avg 3.0
初見は11歳のとき、劇場で。 劇中の阿片の煙がスクリーンを越えてわたしを惑わせ、白日夢へと漂わせた。 得体の知れないなにかに侵食され、トリップしたまましばらく現実世界に戻れなかったことを覚えている。 この映画ではじめて【官能】というものに触れ、それのもたらす耽美や切なさで身体は熱を帯び、魂が震撼した。 少女の纏う薄汚れた麻のワンピース、男物のハットにベルト、不釣り合いな装飾のパンプス 安っぽいそれらがどんなに美麗なドレスよりも蠱惑的で、彼女の常に半開きな唇や光に透ける産毛から目が離せなかった。 父と一緒に観た、旧い映画のボンドガールなんかよりよっぽとエロティックに感じられた。 「君に恋い焦がれて死にそうだ」 -大人になった自分はこんな風に愛されることがあるのだろうか。 多分ないだろうな。諦めと安堵が綯交ぜになった予感。 大好きな映画は何度でも観て、円盤も購入したりするけれどコレは10年に1度しか観ていない。決めているわけではないのになぜかそんなルーティン。 4度目のいまも、心はすっかりサイゴンに拐われてしまった。11歳の頃のように。 悲しい予感は当たっている。 次回は10年後。ベトナムウォッカ、ネプモイをお供に。