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ジョン・ラセター復帰後のディズニーは破竹の勢いで快進撃を続けている。その秘訣は企画段階からの合議制=ピクサー方針の導入に負うところが大きい。本作も【ズートピア=多民族国家アメリカ合衆国のメタファー】を舞台に、練りに練り上げた物語が展開される。監督が3人、Story(原案)7人という究極の人海戦術である。その根っ子は南部の人種差別政策からキング牧師の公民権運動、そして現在のアメリカが抱える課題、理想郷作りの困難さまで踏まえている。ただし、村上春樹が言うように、人は必ずしも「100%の女の子」に恋するとは限らない。完璧な女性と一緒にいると、時として息苦しくなることがある。あばたもえくぼ。だからラセター総指揮の(無個性な)作品群は文句を付けようがないくらい素晴らしいのだけれど、時には宮崎駿や押井守、新海誠が監督した、歪で不完全な(作家性の強い)日本のアニメでお口直しもしたくなるのである。
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