Comment
2019年163本目は東西ベルリン分断期にスパイとして活躍した男性が、家族を取り戻すために決死の覚悟を強いられるサスペンス『出国』。 これは実際にあった事件を元にしており、主人公のモデルとされたオ・キルナム氏の実録を元に製作されました。韓国と北朝鮮、更には当時のドイツの思惑によって散々利用されたことは事実なわけで、列強の身勝手な主張に腸が煮えくり返る思いにさせられます。 ただ、1つ指摘しておかなければならないのは、本作がかなり脚色を施されている点で、実際にはこんな派手な謀略合戦は起きてませんし、殊更に家族愛やお涙頂戴演出を盛り込んだために「クドさ」は否めません。 また、後にこの映画は韓国政府によって90%もの出資金を受けていることが明らかとなり、プロパガンダであるとして光州では公開禁止運動にまで発展しました。出来映えはイマイチであるものの、昨年公開された光州事件とその後を描いた『タクシー運転手』『1987 ある革命の真実』にまつわる周辺知識を補うことができますし、政府側の描きたい真実を踏まえた上で現在公開中の『工作 黒金星と呼ばれた男』に目を通して頂けると、非常に興味深い映画体験ができるはずです。
2 likes0 replies