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とにかく世界観の作り込みが徹底されており、靴下を這う蜘蛛や綺麗に年の順に並べられた靴、削り取られる赤鉛筆など意味深な描写があちらこちらに顔を覗かせ、これがミア・ワシコウスカ本来が持つ耽美な佇まいとあいまって見るものを強く惹き付けます。また、非常に艶かしい暗喩の数々は、ピアノの連弾シーンでそのエロティシズムをクライマックスに到達させ、性的欲求を死への衝動によって昇華する主人公のダークサイドをより浮き彫りにする効果を買っており、実に深い印象を残します。 脚本を書いたのが『プリズンブレイク』の主役を務めたウェントワース・ミラーと知ったときにはストーリー以上の衝撃を感じましたが、彼の隠れた才能とパク・チャヌク監督の的確な演出が光る佳作であることに間違いはないでしょう。 よくよく考えると細かい粗が目立ちまくりで到底納得のいかないストーリーであることに違和感を覚えまくりではあるものの、多少の矛盾もねじ伏せる力を持った一作でした。
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