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star5.0
どうしてタイトルが「ライオン」なのか。それがエンドクレジットで初めてわかったとき、またさらにグッと来てしまった。 25年前に主人公がどうやってたどり着くのか、現代に過去をコラージュ風に入れ込んだような、もっとミステリー仕立てなのかと思ってた。でも(よくありがちな)そんな凝った作りではなくて、主人公の幼い頃の、なぜそうなったのかが時系列でとても丁寧に描かれる。 でもたしかにこれは話としては彼の「25年ぶりのただいま」なんだけど、本当の主題は、いつか帰ると信じて待ち続けた母と、自分の知らない過去を背負った子どもにひたすら愛情を注ぎ続ける養母という2人の母と、その2人の母を心から愛する息子の愛の物語なんだな。息子を演じるデヴ・パテルの抑制の効いた演技がとてもいい。「マリーゴールドホテル」の陽気ではっちゃけた彼との何という違いよ! 途中で出てくる赤い揚げ菓子の効果が素晴らしい。その色彩が、封印していた幼い頃への思慕を解き放つ。特典映像のインタビューで、幼い頃の記憶は心の中の宝箱にしまっておいたみたいなことをご本人が言っているけれど、まさにそのお菓子がその箱を開けたんだね。幼い頃、食べたくても貧しくて買えなかった、このお菓子。いったいどんな味がするのかな。
300