孤独な男女が身を寄せ合おうとするメランコリックなラブストーリーであり、1人の探偵の物語 この映画は、全てのシーンを35mmフィルムで撮影し、1リール分を5つのエピソードとして分け、その時系列をシャッフルし構成されています バラバラになっている５つのエピソードが互いを補完し合い、ラストにはすべてのピースがピタリとハマるだけでなく、描かれなかった行間が余韻として膨らんでいく展開になっています。 全てのエピソードがハマった時、まさに手遅れの過去と言わんばかりの悲劇に胸が苦しくなります それとともに、ラストの表情には、思わず"カッコいい"と言葉に出てしまいました😭 派手な演出は一切ないですが、ワンシーンワンカットのフィルム撮影というギミックと変化に富んだカメラワークに引き込まれて、ワンシーンワンカットの長回しであることを途中で忘れてしまうくらい 細部にこだわり、時系列や人のつながりを丁寧に描いています 舞台となっている退廃的な街の雰囲気、そして35mmフィルムの質感が創り出すどこか懐かしく落ち着ついたセンチメンタルな世界観 ロマンティシズムに身を委ねたい人におすすめしたい、深夜の時間帯がよく似合う逸品です！

Netflix。邦題「手遅れの過去」。 TBSラジオのアトロクで、ライターの村山章さんが紹介されていた。 いやぁ…すげえものを観た。 35mmフィルム１リール分(22分)を撮りきり１シーン１カット×５シーン＝上映時間110分。 と言っても、何を言ってるのかよく分からないと思うんですが、村山さん曰く「カメラを止めるな、５回分」ということで（笑）。 ＊ そんなギミックに目がいってしまいそうだけど、脚本・構成も上手くて。 ほんとに、登場人物がみんなどうしようもない人ばかりで。愛おしい。 なんというか、僕の思う「ハードボイルドでキザなアメリカ」みたいなのが全部ブッ込まれてて、見てるだけでくすぐったくてニヤニヤしてた。 日本でやるなら優作さん。そんな感じ。 ＊ アメリカでの上映はフィルムのみという条件だったらしい。お前はタランティーノか。当然、日本上映は無し。 こだわりの男だぜ、デニス・ホーク監督。 それがなぜNetflixに入ってるのかはよく分からないけど。ホントに観れて良かったです。ありがとうNetflix。ありがとう村山さん。

今作品と同じくNetflixで鑑賞できる『スモール・タウン・クライム』でハードボイルドな渋い探偵を演じたジョン・ホークスの探偵もの。 　 製作年でいうとコチラの方が先になる。 　 　 35mmフィルムでの撮影に拘り、１リールの限界である20分間を長回しのワンカットで撮影。 　 1編20分ワンエピソード×5編で構成されている(当然ですが5編全てが長回しです)。 　 失礼だが無名といってもいいデニス・ホーク監督の長編デビュー作。 　 映画館の上映も“フィルム上映に限る”という拘りだったため、上映館が限られ余り日の目を見なかったのが勿体無い。 　 5つのエピソードが過去と現在を行き来して、最後にはパズルのピースがピタッとハマる感じ。 　 ただ終わってみると、探偵ものサスペンスと思わせておきながら、哀愁を帯びた男と女の群像劇だったように思える。 　 派手なアクションなどは皆無の会話劇ですが、ジョン・ホークスの渋さも手伝って見応えは十分にあります。 　 　 フィルム撮影のせいか演出のおかげか、どこか懐かしい雰囲気のする仕上がりで、観終わったあとの余韻が素晴らしい。 　 4 コマ写真がとても印象に残ります。 　　 　　 Netflix加入者は観ないと勿体無い、未加入者は1ヶ月分の会費を払っても損はない作品ですよ。