Holy Spider

これは北欧の鬼才アリ・アッバシ監督による「夜の大捜査線」ではないだろうか。一応、最後には人道に反する大罪を犯した者に正義の鉄槌が下され、胸のつかえが取れるようになっているが、何か釈然としないものがいつまでも心の中に燻ぶり続ける。この聖地マシュハドでは、浄化の名のもとに娼婦ばかりを狙った連続殺人鬼が再び現れる可能性は充分にある。

2000年から2001年にかけてイラン・マシュハドで実際に起きた事件を基にした作品 イスラム世界という地獄の一端が垣間見える

クソみたいな思考と信仰の元、クソみたいな構造が、再生産＆継承されていく地獄をちゃんと掬い取ってみせる。 蔑視が当たり前のものとして蔓延る現実が、信じたいものを信じる力によってむしろ強固にフォローされていく様は、なにも他国の話でもピュアな子供に限った話でも、ましてや過去の話でもない。 ギャガ

アリアッバシ監督はボーダーで知り、マザーズも観た。もし彼の作品の長編1作目がこの作品だったら、果たして自分は観ただろうか。中東に根深く存在するミソジニーが当たり前すぎて、敢えて観ることはしなかったかもしれない。でもこれまでのアリアッバシを観てきたからこれも観たいと選んだ。それが策略が偶然が全く分からないが、こういう事ってある。警官がどの角度から見ても女を性的対象としてしかみていないクソ野郎の顔してた。今あるものは全て、大人が作ってきて、それを反省もせずに社会的弱者の個人に罪をなすりつけるありのままの現在。それに飲まれる子供が辛い。死しても相手を苦しめるならば、ある程度体格が良い方が良いのかも。

人殺してる最中に「神よ我に力を！」とか抜かしてるシーンが一番シュールでした。

恐ろしい。 展開は見えていたけど、気分が悪くなるのはどうしようもない。 宗教そのものが悪いのではなく、人間の受け入れ方が問題だと思うけど。 時に信仰は洗脳に成り代わるし、政治に密着した宗教は悪にもなれる。崇高だけど、重い。