レビュー
てっぺい

てっぺい

5 months ago

4.0


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宝島

映画 ・ 2025

平均 3.4

【お宝映画】 段取りも記憶も飛ぶほどの、俳優陣の“演技以上”の熱演が目を見張る。2000人参加のシーンに見る映画の迫力、そして史実の重みとともに放つ骨太メッセージ。名実ともにまさにお宝の映画。 ◆トリビア ◉#言葉にできない表現 妻夫木聡はコザ暴動シーンでの怒りの表現に、自分の我慢の限界=沖縄、という想いを込め、その痛みを受けながらただ没頭していたと明かす。 ▷「あの場面の撮影で自分がどういう風だったのか、言葉にするのは難しいですね。演技のプランがあってああしたわけではないです。分からない。自分自身でもどうなっていたのか…」 (https://www.lmaga.jp/news/2025/09/965830/) ◉#涙で動けなくなった妻夫木 妻夫木は役作りのため、事前に沖縄を訪問。実際のガマ(洞窟)やそれを描いた絵を見た際、涙で動けなくなったという。 ▷「僕はいろいろな勉強をしていったけど、その絵を見て、勉強で知ることよりも大切な何か、その声がどんどん入ってきました。最後まで(その経験が)僕の支えとなっていました。」 (https://www.tst-movie.jp/report/takarajima-kk-20250505.html) ◉#妻夫木40歳の全力疾走 コザ暴動シーンは、延べ2,000人を超えるエキストラが参加し、巨大なセットを建造しての撮影。本気を感じる緻密なセットに驚いたという妻夫木。 ▷「全力疾走を繰り返す撮影時は体力的にも過酷で“もう俺40歳越えてるんだよ?”と思いましたが(笑)、あの仕事ぶりをみたらへばってはいられませんでした」 (https://www.gqjapan.jp/article/202509012-takarajima-movie-satoshi-tsumabuki-masataka-kubota) ◉#映画を越えた使命 妻夫木は本作の宣伝アンバサダーに就任。妻夫木にとって映画を越えている存在になった本作を、直に言葉で届けたいと熱く語る。 ▷「この作品には(世界を)覆す生命力があるんじゃないかなと信じているんですよね。過去もなかったことにはならないし、僕達は前に進むしかないんだけど、でもその原動力に確実になると僕は思っています。」 (https://www.tst-movie.jp/report/takarajima-kk-20250505.html) ◉#暴力に乗せる役作り 窪田正孝は、演じたレイについて、インターネットのない時代に、苦しみを訴える術が“暴力を振るう”事しかなかったと分析する。 ▷「そうした彼の本質みたいなものは、自分がいちばん理解しなきゃいけないと思っていました。楽しみながら演じていたというよりは、“挑戦”の意味合いが強かったかもしれないです。」 (https://classy-online.jp/lifestyle/475404/) ◉#窪田が驚いた0.2ページに1日 本作の撮影期間はのべ106日、ロケ地は43箇所にも及ぶ。窪田正孝は、現場での途方もない熱量と覚悟を目の当たりにし驚いたという。 ▷「最初から最後まで全くエネルギーが落ちないのです。しかも1日かけて台本の0.2ページ分くらいを入念に撮るほどこだわりが凄まじく、妥協もない。一生やっているんじゃないか?と思えるほど延々と撮影している大変な現場でした」 (https://www.gqjapan.jp/article/202509012-takarajima-movie-satoshi-tsumabuki-masataka-kubota) ◉#演技を超えた長回し レイがヤマコの自宅へ押し入るシーンは、窪田、広瀬による”演技とそれ以上の境目”が分からなくなる、鬼気迫る長回し。何度撮影したか記憶がないという窪田は、段取りすら頭から抜けていたと語る。 ▷「あの撮影は心情的にあまりなにも考えられませんでした。この考える余裕のなさが大友組なんですよね。そして、そうやってこの『宝島』はできているんです」 (https://www.lmaga.jp/news/2025/09/965823/?cv=y) ◉#一生分泣いた広瀬すず 広瀬すずは、ヤマコという役を通して、常にふつふつと燃えているものがある感覚だったという。 ▷「一生分って言ったらちょっと大げさかもしれないけど、本当にこの数年 1 回ももう泣かなくてもいいと思うくらいすごい泣きました。」 (https://www.youtube.com/watch?v=Zv4MVV-QrEw) ◉#感情爆発の一発放出 広瀬すずは、感情を爆発させるシーンについて、”頭で考えてもできることじゃない”と、沖縄の滞在時間で触れて見て感じたものから感情を放出したという。 ▷「何日かに分けて撮るはずのシーンが段取りを見たら、監督が「これを今から一発で全部撮ろう」という感じですごくテンションが上がっていて、本当にほぼ一発で撮りました。」 (https://www.tst-movie.jp/report/takarajima-kk-20250505.html) ◉#監督を動かした永山瑛太 現場で永山瑛太のオンを見た大友監督は、オンのシーンを次々と追加していったという。戦果を島民に配るシーンでは、おばあに薬を渡すやりとりを追加。小学校に戦闘機が墜落するシーンでは、かつてオンとヤマコが未来を語る恋人同士の会話を追加することで、オンの深く大きな優しさと愛情を印象的に映し出した。 (https://www.takarajima-movie.jp/productionnote/) ◉#演技の議論は意味がない 監督の演出に、演技の掛け合いや細かな感情の指示はなかったという妻夫木と窪田。 ▷妻夫木「僕たちは言葉にしようがないものの表現を求められていたし、生身を現場でぶつけ合ったよね」 ▷窪田「監督は『ここで生きた人間を撮ったら何が出てくるのか?』と想像を超えるものを期待していて、僕たちは丸裸の人間である必要があった。演技についての議論にはある種意味がなかったんです」 (https://www.webuomo.jp/culture/interview/isFq5A/area01/) ◉#涙が証明する力 沖縄の試写会では、上映後に“おばあ”たちが監督のもとへ駆け寄り「ありがとう、ありがとう。私たちの代わりに伝えてくれてありがとう」と号泣しながら、満面の笑みを見せていたという。 ▷監督「沖縄の人たちが得てきた痛み、つらみ、喜びは、(現代の自分達が)共有することで色々な気づきが生まれるんじゃないかと思っています。」 (https://eiga.com/news/20250627/2/) ◉#コザ騒動とは 1970年12月20日未明、沖縄県コザ市で群衆が米軍車両約80台を襲撃・焼却し、88人が負傷。背景は米軍統治下の圧制と人権侵害。発端は酒気帯び米兵の轢殺事件が無罪となり、当夜も事故と米憲兵の威嚇射撃で怒りが爆発、民衆蜂起へ発展した。 (https://eiga.com/news/20250627/2/) ◆概要 【原作】 真藤順丈「宝島」(同作で第160回直木賞を受賞) 【監督】 大友啓史(「るろうに剣心」シリーズ) 【出演】 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、中村蒼、瀧内公美、尚玄、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮、デリック・ドーバー、ピエール瀧、栄莉弥、塚本晋也、永山瑛太 【公開】2025年9月19日 【上映時間】191分
 ◆ストーリー 1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。そんな戦果アギヤーとして、いつか「でっかい戦果」をあげることを夢見るグスク、ヤマコ、レイの幼なじみの若者3人と、彼らにとって英雄的存在であるリーダー格のオン。しかしある夜の襲撃で“予定外の戦果”を手に入れたオンは、そのまま消息を絶ってしまう。残された3人はオンの影を追いながら生き、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、それぞれの道を歩んでいくが、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境で、思い通りにならない現実にやり場のない怒りを募らせていく。そして、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出す。
 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆戦果アギヤー 冒頭を飾るのは、命を懸けた“戦果アギヤー”の疾走。銃で応戦しようとする仲間をオンは“ここで撃ったら戦争が始まる”と制する。後に戦果で学校を建てるその思想は、本作の英字タイトルの通りまさに英雄。アメリカと戦う事が目的ではなく、戦果を民に分け与え、戦果を形に残す。そんな英雄像は同時に、本作が描く抑圧された沖縄が求める、光の象徴でもあるように思えた。その一方で、そんなオンちゃんの姿は消え、アメリカによる蛮行が続いていく。骸骨を並べる奇行持ちの米兵が、女性を犯し、その捜査も圧力で潰されていく。戦果アギヤーが散り、英雄の消えた沖縄がその史実とともに、次第に鬱屈していく様がなんとも重々しく描かれていた。 ◆怒り そんな沖縄の鬱屈が爆発する、のべ2000人のエキストラが動員されたというコザ騒動の画力。何台もの米車が破壊され、鎮圧部隊に車ごと襲いかかる。奥までどこまでも人がうごめく俯瞰の画がまさに沖縄の“怒り”そのもの。その中心で“なんくるないさで済むか!”と妻夫木の表情が鬼気迫る。逆に暴徒の中で笑みを浮かべる妻夫木は、“演技のプランがなかった”というこぼれ話を知ると、あれも一つの“怒り”の表現だと納得できる。俳優は、広瀬は“涙”で、窪田は“暴力”で、それぞれの怒りを表現していた。一つ興味深かったのは、ヤマコの家にレイが押しかけるシーン。“段取りすら頭から抜けていた”というほど没頭した2人の演技は、一部お互いのセリフのタイミングが被る。それが逆に実にリアルで、“演技のかけ合いを演出しない”大友監督ならではの、演技を超えた“怒り”のぶつかり合いに震える迫力だった。 ◆ラスト コザ騒動のあと、レイは毒ガスを手に持ち、自らが消えても必ず同志が現れると叫ぶ。グスクが言った“殺されたら殺し返すのか”は、冒頭のオンの“撃ち返したら戦争が始まる”に重なる。2人に共通するのは、沖縄の怒りが“継承”されるという思い。“思わぬ戦果”をあげたオンは、そのウタという宝を大切に育て上げ、思いを“継承”しようとした。思い半ばに命を落とし、結果ウタも亡くなったあと、グスクの前にはオンの魂が。オンのグスクに対する鋭く熱い眼差しは、まるでその思いを託すと語るよう。冒頭とラストでオンが登場するのは、本作がその英雄の存在を何よりも主張したい証。暴力に訴えず、分け与え、形に残す。その思想は、グスクに間違いなく継承され、その後の沖縄をおそらく力強く変えていく。引いては、本作を見る我々にも、その思いの継承が託されているようにすら思えた。エンドロールに乗る史実の写真は、そんな“継承”の重みを静かに伝えているようだった。 皆さんはどう感じましたか? ◆評価(2025年9月19日) Filmarks:★×4.1 Yahoo!検索:★×4.1 映画.com:★×4.8 ※個人評価:★×4.0 #宝島 #映画宝島 #宝島2025 #TakaraJimaMovie #演技を超えた瞬間 #魂のぶつかり合い #段取りも記憶も飛んだ現場 #一生分泣いた演技 #コザ騒動 #英雄の継承 #映画トリビア #保存して読みたい 引用元 https://eiga.com/movie/101792/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/宝島_(真藤順丈の小説)#映画