レビュー
激動の時代に翻弄された役者の愛憎劇。稀代の名女形役者の大ロマン。 素晴らしい作品だった。スタッフ、キャスト共に素晴らしい。一枚一枚の映像の美しさ。役者陣の魂の籠ったお芝居。どこを取っても素晴らしい。 中国のその時代の空気を感じられる。ちゃんと作り込まれた世界観だった。映像が逐一キレイ。舞台の絢爛豪華な衣装が非常に映像映えする。3時間という長い作品だが、色彩も豊かで見た目でも飽きのこない作品になっていた。 レスリー・チャンの演技に目が離せなかった。舞台上のお芝居では、完全に女性にしか見えなかった。それ以外のノーメイクのシーンでも、声の発し方や言動、仕草が非常に女性的であった。しかも、美しく、色っぽく、品がある。寄りのカットきたら、女形ならではの触れがたい洗練された美しさがあった。思わず見惚れてしまった。 内容としてはかなり重い。叶わぬ恋に胸を焼かれ続け、激動の時代に揉まれ、彼が最後に下した決断にはどういう想いがあったのだろうか。昔のように兄と演じることが出来て、かつての兄が戻ってきたと思ったから、そこで最後にするのが、彼の中で最良だと決断したのだろうか。その理由はよくわからない。でも、その激情の集大成をそこで終えたのは、なぜか納得できる。 3時間という長い尺だけあって、骨太な作品だった。見終わったあとに、ほぅと息を吐いた。長い長い大河ドラマを見終わったあとのような達成感があった。
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