レビュー
2020年156本目は、現代の天才画家として名を馳せるゲルハルト・リヒターをモデルにした大作ドラマ『ある画家の数奇な運命』。 ------------------------------------------------------------ ナチスドイツ政権下を舞台に描かれる3時間越えの長大作にもかかわらず、本当に大河ドラマを見ているような感覚に襲われる1作で、そこまで時間の幅を感じることはありませんでした。ナチスの残虐な政策による被害者と加害者との対立を描くお決まりのストーリーではありますが、本作では主人公がそれを一切知らないままに話が進んでいきます。そしてそれが思わぬ形で暴かれる終盤には、タイトル通り「数奇な運命」を感じ、強く心を揺さぶられます。 ------------------------------------------------------------ 注意が必要なのはこれがあくまでもゲルハルト・リヒターに「インスパイア」を受けたに過ぎず、恐らくほとんどがフィクションであるという点でしょう。私自身ももっとリヒターの芸術家としての側面に焦点が当てられると思っていたんですけど、それ以外の話が多すぎて面食らったほどです。映画を通じて、彼の画家としての足跡やフォトペインティングの源泉などに迫れなかったのは少々残念でした。 ------------------------------------------------------------ 特に疑問なのは主人公とエリーの恋物語に割かれる時間があまりに多いことで、中盤以降はひたすら無駄なベッドシーンの連続で若干イライラ。子供を持つことがどんなに2人にとって重要だったかは分かる一方、この部分を削りまくったら2時間程度で終われたんじゃないでしょうか。エリーを演じたパウラ・ベーアと美貌の叔母を演じたザスキア・ローゼンタールの見事な脱ぎっぷりには拍手を送るしかありませんが。
いいね 8コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.