レビュー
とにかく目を見張るのはエル・ファニングの徹底した役作りで、体つきや髪形や表情などどこを取っても完全に「少年」に成りきっているのが見事です。 本作、実は作られたのが2015年なのですが、度重なる延期でなんと三年遅れて日本公開。各映画祭、批評サイトでも口を揃えて「凡庸」と評されたそうですが、見てみると確かにせっかくトランスジェンダーを主軸に据えておきながら、それが単なるお飾りでしかなく、中身はどこにでもある「家族ドラマ」となっているのがありありとわかります。 特に、ストーリーのゴールが「書類にサインをもらうこと」に定められているためなのか、口を開けば登場人物は「サインはどうした?」「サインしてよ」「どうしてサインしないの」の繰り返しで、見ているこちらが辟易とさせられます。 性別が変わるというのはもっと重大で意義深いことだと思うのですが、これではまるで「手術さえすれば人生変わる」と言ってるかのようで、この手の題材を扱う一作としては安易な逃げ道に走りすぎではないかと感じました。
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