レビュー
YOU

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4 years ago

3.5


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ニューヨーク東8番街の奇跡

映画 ・ 1987

平均 3.3

2021年12月20日に見ました。

マシュー・ロビンスが監督を務めた、1987年公開のSFファンタジー。 スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務めていることでも知られる本作では、古びたアパートの住民たちと宇宙から来た円盤型生命体との不思議な交流が描かれます。邦題とポスターからてっきり「クリスマス映画」だと思い込んでいましたが、蓋を開けると全くクリスマスの話ではありませんでした。何なら登場人物皆んな半袖着てますからね(笑)。それなのに本作が未だあちこちでクリスマス映画として特集されているのは、どうやら公開日が本国・国内共に12月だったからだそう。スピルバーグ印でもある本作は人間と地球外生命体とのハートフルな交流が描かれるという、まさしく”『E.T.』型”な作品となっています。意外とSF要素が抑えめな作りも非常に『E.T.』的なバランスです。またあちらではSFファンタジーとは裏腹な「両親の離婚」という”ハードな現実”が描写されていましたが、こちらも同様に主人公フランクの辛い日常が序盤で示されています。何しろ開幕早々、認知症の妻フェイを優しく世話するフランクはチンピラからアパートの立ち退きを迫られ、更には長年営んできた大切なカフェを奴らにボロッボロに壊されるという、『E.T.』なんてもんじゃない悲惨極まりない状況となっており、観客はものの数分で嫌でも彼らに感情移入させられます。しかし中盤以降物語は意外な方向へと舵を切り思ってもみない角度からドラマ的感動が押し寄せる為、手垢の付きまくった話にも関わらず最終的にはしっかり胸を打たれました。 そして本作独自の特徴はやはり「老人×可愛い生命体」の関係性です(というか、普通に「子供×不気味な生命体」だといよいよただの『E.T.』になるので、それを避ける為だけに反転させたのではないかと…)。これによりスピルバーグブランド感はそのまま残しつつ、『E.T.』とはまた違うほのぼとした味わいも醸し出しています。こうした作風からも本作は円盤型生命体のキュートなルックスとベタなユーモアで魅せていく作品なのかと思いきや、時々お茶の間が凍り付くような悪趣味ギャグも唐突に放り込まれます。特に強烈だったのは何と言っても「円盤型生命体の出産シーン」ですよね。確かに物語のキーとなるライリー夫妻の”とある過去”と呼応するような役割は果たしていますが、それにしてもこれは一体何なんですか?(笑)。鑑賞から1ヶ月経った今ではもうこれしか印象に残ってないですよ。エンターテイメント映画において「これロボットだよ?ロボットだからね?」と強く念押しした上で悪意を込めてくるこの感じは、マイケル・ベイが手掛ける「トランスフォーマー」シリーズのバイオレンス描写とも近しいものを感じると言いますか。ただここで産まれた3体の円盤たちのユニークな立ち回りや三馬鹿トリオ感は、『サイレント・ランニング』のドローンなんかも彷彿とさせます。という事で、自分が本作に感じる印象はズバリ、「ハード」と「ハートフル」のフォーカスが極端だということ!双方がひっきりなしに入れ替わり、時にそれがざく切りのまま混在するという、言うなれば全編がとても「ハードフル」な一作です。もちろん映画としてはスピルバーグの方が明らかに何枚も上手、しかし自分はこの歪なバランスが決して嫌いにはなれません。あらゆる意味で異色な作品ですが、夏にでも冬にでも是非。 『*batteries not Included(*〈この製品に〉電池は含まれていません)』という尖った原題からしてかなりヤバい。気付くべきだった。