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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償
平均 3.5
昨年のアカデミー賞に多部門でノミネートされ、助演男優賞で見事オスカーを獲ったダニエル・カルーヤの主演作。 ちなみに歌曲賞も受賞。 1960年代後半、勢力を広げる黒人人権団体「ブラックパンサー党」。 イリノイ支部では指導者フレッド・ハンプトン(ダニエル・カルーヤ)を中心に活動を広げていた。 FBIの偽バッジを見せて窃盗を繰り返していたのがビル・オニール(ラキース・スタンフィールド)。 本物のFBIに逮捕され、オニールはブラックパンサー党に情報屋として潜り込まされる。 カリスマ的なフレッド、党にスパイとして入ったオニール、そしてオニールを操るFBI捜査官ミッチェル(ジェシー・プレモンス)。 3人の立場の違いや信念、葛藤、裏切りを見事に描いた作品でした。 何と言ってもダニエル・カルーヤ。 恰幅も良くなり演説をしてもカリスマ性が凄い。 『ゲットアウト』のイメージからかなり変わって存在感がすごかった。 しかし指導者としてのフレッドは民衆のために食堂を設けたり診療所を計画したりとあくまでも困っている人の事を考えている。 そんな人情深い、そしてシャイなフレッド役も熱演していたダニエル・カルーヤでした。 そんな姿を知ると潜入したオニールは気持ちが揺らぐ。 警察に囲まれ党の事務所を銃撃された時に怖くて屋上に潜むオニールの姿。 ミッチェルに次々と命令され、事務所の見取り図やフレッドの部屋の見取り図を書かされる姿もリアルでした。 党の演説会にこっそり潜入してきたミッチェルを見つけたオニールの複雑な表情も何とも言えず。 そしてミッチェルが当時のFBI長官フーバーに追い込まれるシーンもすごい。 「娘が黒人を連れてきたらどうする?」「骨のある革命家は刑務所の中でも何かを成し遂げてしまう」 「潜入者(オニール)を別の使い方をしたらいい」など。 考えあぐねるミッチェルがその後実行に移すのは…。 あぁ、それにしても企むミッチェルを演じるジェシー・プレモンスはこんな役がぴったり。 映画の中でこの3人の気持ちの動きにとても引き込まれました。 「革命家は殺せても革命は殺せない」と言い切ったフレッド。 「フレッドならナメクジに塩を売れる」と恐れたミッチェル。 オニールはやった事に潰されたのか、その後が何とも言えない。 上映の扱いが軽すぎる作品になってしまったが、見応え充分な内容でした。