
忍之閻魔帳

スティーブ・ジョブズ(2015)
平均 3.1
2016年02月12日に見ました。
本作は正統派の伝記映画ではありません。ジョブズが手掛けた3つの製品、「Macintosh」「NeXT Cube」「iMac」の発表会の舞台裏を膨大な台詞量と超特急のスピードで描く斬新なスタイルで、ジョブズに対してあまり予備知識を持っていない方が彼の功績や人となりをこの作品だけで窺い知ることは難しいと思います。 書籍やインタビュー記事といった補足情報なく映画だけでスティーブ・ジョブズという人物を知るのであれば2013年公開のアシュトン・カッチャー版も観ておいた方がベターでしょう。 「何故そんなに嫌われようとするんだ」 「別に嫌われたいわけじゃない。嫌われても構わないとは思っている」 この短いやり取りだけでも、ジョブズの人物像がはっきりと見えてきます。何よりも美学を優先し、美しくないものは徹底的に拒絶する。経営陣や仲間から嫌われても、世に出た製品をユーザーが愛してくれるならそれでいいのだという、カリスマの真髄がこの映画にはちゃんと息づいています。 会社を追われることになっても“Think Different”を貫いた彼は、AppleIIへの謝辞を断る一方で、アラン・チューリングの巨大ポスターを発表会場に貼ります。 「彼こそコンピューターの父だ」との言葉に、「イミテーション・ゲーム」で描かれたチューリングの悲劇的な晩年を思い出し、思わず涙腺が緩みました。 自己中心的で気難しい反面、自分が人として出来損ないであることも自覚していたジョブズ。理想を語ること、製品をアピールすることには長けていても、夫として、父としての愛情表現はからきしダメでした。でも、ファンはその歪みも込みで愛したんです。 Appleの新製品発表会を、製品内容よりもジョブズ目当てで見ていたようなファンはきっと満足すると思います。 はい、それは私です(笑)