レビュー
てっぺい

てっぺい

2 years ago

4.5


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ラストマイル

映画 ・ 2024

平均 3.8

2024年08月24日に見ました。

【参る映画】 邦画では稀なマルチバース的概念を導入。ドラマと繋がるワクワクな世界観に、緻密過ぎる脚本で怒涛の伏線回収。俳優陣の熱演はもちろん、身近なテーマに鑑賞後の自分の意識が矯正される。その完成度には、もう参りました。 ◆トリビア ○ タイトルの「ラストマイル」(ラストワンマイルともいう)とは最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのことを指し、客へ荷物を届ける最後の区間を意味する。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ラストマイル) 〇満島ひかりは、撮影期間中に公私ともに他の予定を入れず、かつ「次の出演作が決まっていない」状況に自分を追い込んだという。「この作品で最後かもしれないのにこんなにうまくいかない私という、ガタガタの階段をヒールで上るような環境を作っていました。」 (https://www.gqjapan.jp/article/20240822-hikari-mitsushima-hype) また、「マクロで考える人を理解できるように、常にマルチタスクを課していました。」といい、芝居中に他のことを考えたり、カメラに映らないところで足の小指だけ動かすなど、一つのことに没頭・集中しないように意図的に頭の中に余白を作ったと明かす。(https://www.gqjapan.jp/article/20240822-hikari-mitsushima-hype) 衣装は、満島の進言で予定を変更し、ヴィンテージのアイテムを集めたという。気軽にポチれる流通サービスの環境下で自分を保つために、歩いて見つけに行かないと手に入れられない“通販サイトで買えないような”服をエレナが纏っていると考えたと語る。(https://www.gqjapan.jp/article/20240822-hikari-mitsushima-hype) ○満島が演じたエレナは、脚本家が満島をイメージして書いたという当てがき。満島はその難解な脚本に「熱海の温泉を1人で借りて、温泉に入りながら、海の向こうを見ながら視野を広げて脚本を読んでみた」と役作りに試行錯誤を重ねた事を明かした。(https://m.crank-in.net/news/151814/1) 〇満島は本作について次のように語る。「エレナの選択したことの続きはまだ、私の毎日の中にもあります。私たちの日常で、身の回りで起こっている止められない現実。一人の力では動かせない苦しさの連鎖。観る方がどんな気持ちになって、どんな余韻で日々をすごしてゆくのか、そんなことを想う映画でした。」(https://www.kinejun.com/article/view/33294) ○岡田将生は、演じた梨本孔について”無味無臭であんまり色がない”役だと語る。「(普段は)ちょっとずつ肉付けをしていく感覚はあるんですけど、今回の孔に関しては肉付けをすると、この作品の持っているバランスが、ものすごく悪くなるなと思ってました。だからこそ、この役を演じるのはとても難しいと感じていました。」(https://otocoto.jp/interview/last-mile-movie0823/2/) 〇岡田は本作のラストシーンを撮影した際、本作の本質を捉えその怖さを知り、「さああなたならどうしますか」と問いかけられる映画だと感じたという。(https://tver.jp/episodes/ep3ocylud0) 〇志摩一未を演じた星野源は、ドラマ当時は夏の撮影で志摩の天然パーマがしっかりついていた事に対して「今回は冬の志摩なので、癖っ毛がゆるいんですよ」と裏話を明かした。(https://www.excite.co.jp/news/article/E_talentbank_504751/) 〇陣馬耕平を演じた橋本じゅんは、ドラマで名物となっていた“機捜うどん”をドラマ以降、本作の出演が発表された日まで実生活でずっと絶っていたことを告白した。(https://mdpr.jp/news/detail/4256664) 〇星野源曰く、実は『MIU』の制作前から本作の構想を聞いており「アベンジャーズみたいなことをやりたい」と聞かされていたという。オファーが来た際には「ついに始まるんだな」という感覚だったそう。(https://tver.jp/episodes/ep3ocylud0) 〇舞台となった巨大物流倉庫は、実際の物流倉庫と、空の倉庫に作った巨大セットで撮影、期間はおよそ2カ月間に及んだという。岡田は、想像力を湧かせてくれるセットで俳優陣にとってはプラスに働いたと語る。(https://tver.jp/episodes/epw46x7c98) 〇ロケ地は、機械工具卸売商社のトラスコ中山の物流センター「プラネット埼玉」「プラネット北関東」など。(https://www.cinra.net/article/202408-whn-lastmile_edteam) 〇「アンナチュラル」の主題歌「Lemon」、「MIU404」の主題歌「感電」、本作の主題歌「がらくた」と各作品のシーンを使用した、約3分間の特別映像が製作されている。(https://www.youtube.com/watch?v=o1Yc-GM8GOk) 〇監督と脚本家曰く、劇中にはドラマにゲスト出演していた俳優のカメオ出演や、1回観ただけでは気づかないような“隠れキャラ”も登場するという。(https://storyweb.jp/lifestyle/421758/) ○プロデューサーの新井曰く、本作の製作に際して、脚本家と監督に出したリクエストは『アンナチュラル』『MIU404』のキャストを全員出したい、だったという。(https://rockinon.com/blog/cut/210288.amp) 〇公式本が発売。主演2人の撮り下ろしグラビア&スペシャルトークや、⽶津⽞師のスペシャルコメント、「アンナチュラル」「MIU404」キャスト陣のグラビア&インタビューなどが収録される。全国の書店、ネット書店にて販売。(https://last-mile-movie.jp/news/index.html) ◆概要 テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画。 【脚本】 「罪の声」野木亜紀子(両シリーズの脚本) 【監督】 「コーヒーが冷めないうちに」塚原あゆ子(両シリーズの監督) 【出演】 満島ひかり、岡田将生、阿部サダヲ、ディーン・フジオカ、宇野祥平、安藤玉恵、丸山智己、火野正平 (「アンナチュラル」より) 石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、竜星涼、飯尾和樹、吉田ウーロン太、薬師丸ひろ子、松重豊、大倉孝二 (「MIU404」より) 綾野剛、星野源、橋本じゅん、前田旺志郎、金井勇太、永岡卓也、麻生久美子、酒向芳 【主題歌】 米津玄師「がらくた」(両シリーズの主題歌も担当) 【公開】2024年8月23日 【上映時間】128分 ◆ストーリー 流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔とともに事態の収拾にあたるが……。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆2.7m/s 映画のファーストカットに記される2.7m/s→0の文字。忘れた頃に明かされたその意味は、山﨑が命を賭して訴えた運送業界への警告だった。全体的にテンポ爆速のジェットコースタームービーながら、そんな伏線回収が次々と行われる恐ろしい脚本力。主人公に裏の素性がある驚きもあれば、その舟渡が八木と同調して業界を辞める意外性もあり、配達員の洗濯機のロングスパン伏線回収もいい。映画がもう終わる頃かと思いきや、12個目の爆弾が存在する事(序盤からミスリードが仕掛けられていた事にここで気づく)、シンママの家族がやっとここで繋がる。幾重もの仕掛けが網の目状に張られる緻密な脚本に一切見飽きる事もない作品だった。 ◆シェアードユニバース 洋画ではもう稀ではなくなったこの概念。「MIU404」の面々が捜査に奔走し、「アンナチュラル」の面々が遺体から事件解明の手がかりを掴む。このある意味“マルチバース”が邦画で見られる真新しさ。桔梗隊長が署長に昇格していたり、虚偽通報事件を起こした学生が刑事になっていたり、バイトだった九部が研修医になっていたり、しっかり時を経過している世界観に嬉しくなる。正直、伊吹のダッシュが見たかったが笑、中堂の“クソ”を我慢するところ、さらにそれを“来る”で言い換えたのが秀逸だったので良しとする笑。三澄に「そんな度胸ならいらない」ときちんと大事なセリフも与えつつ、監督が語った通り、主役はあくまでもラストマイルの面々だった構成も素晴らしかった。 ◆ラスト 散々運送業界の闇が描かれた本作。最後の爆弾を処理したのが警察ではなく、まさに“ラストマイル”を担う末端の配達員だったという構成からは、本作の業界に対する憂いだけでなく敬意も感じ取れる。センター長を担う事になった梨本の最後の重々しい表情が印象的で、思えば、映画の冒頭とラストが梨本でサンドされており、これはある意味梨本が主役の映画。岡田将生が“無味無臭”の役だと称した梨本は、決して特殊な役ではなくどこにでもいる日本人。つまり我々と同じ普通の人間が、今の運送業界でセンター長になった時、どうなるのか、どう振る舞うのか。梨本がロッカーを見つめる目はスクリーンを通して我々にそれを訴えるよう。ラストカットとなった街並みを行く人々は、本作が描いた運送業界が、我々のとても身近な存在であり、人ごとに決して出来ない大きな課題だという映画表現だと思った。 ◆関連作品 ○「アンナチュラル」 2018年放送のドラマシリーズ。全10話。プライムビデオ配信中。 ○「MIU404」 2020年放送のドラマシリーズ。全11話。「アンナチュラル」の主要スタッフが再結集し、同作品とつながりのある世界設定で制作された。プライムビデオ配信中。 ◆評価(2024年8月23日現在) Filmarks:★×4.3 Yahoo!検索:★×3.8 映画.com:★×4.1 引用元 https://eiga.com/movie/100881/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ラストマイル