レビュー
非常に不思議な映画です。キリスト教信者からは痛烈な批判を食らったようですがそれも仕方がない作風で、『ノアの箱船』を題材としながらも中身は完全にダーレン・アロノフスキーオリジナル。 前半で散々神との対話を繰り広げながら念入りに準備を整えたかと思いきや、後半では一転、神への信奉と家族への愛とで引き裂かれていく人間の醜さを押し出す展開に。こんな発想で聖書や神話を再解釈できるのはこの人だけかもしれません、ある意味ものすごい監督だと思います。 考えてみれば『レクイエム・フォー・ドリーム』や『ブラックスワン』でもひたすらに人間の負の側面に注視し、破滅的な欲望やエゴイズムを描いてきたわけですから、こうなることは自明の理であったのかもしれません。とはいえ流石に主人公であるノアには腹が立つばかりで本気で「死ねばいいのに」と思っちゃいますし、タイムラプスを含めた小手先のド派手に見える演出も飽きがくるほどうざったく、映画としての完成度は高水準とは思えないです。
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