レビュー
刺のある言い方をすると、非常に「一般ウケ」する映画だなあと思います。障害を抱えた主人公に暖かい周囲の人々、ポップな音楽と背景にキュートな展開。実に堅実な仕上がりで満足感も高いのですが、私のようなねじ曲がった人間にはどうにも違和感を拭えない一作でした。 主人公に障害者や社会的弱者を据える映画は年々増えていますが、その主人公が自分から「俺アスペルガーだから。人とは違うし、人とは同じように生きられないんだよね」ってことを堂々と主張するのはどうなんだろうと思います。人とは違う人間に対して周囲が自然と理解を示す姿に人は感動するのであって、こんな自己主張の強い奴が個性を振りかざしてこられたら腹が立つだけです。 にも関わらず、主人公が特に大きく成長をするわけでもないのに、周りは彼の事を最終的に認めて優しく受け入れるのです。それは些か調子が良すぎやしませんか。 彼のせいで兄が5年も付き合った恋人を失っていることを、この映画は軽く見すぎですし、障害を盾にして都合のよい言い訳に終始しているようで、私は非常にすっきりしませんでした。
いいね 6コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.