レビュー
全く期待しないで観たが、意外に面白かった。原作など全く知らないが、日本アニメのアイデアの豊富さを思い知らされた感がある。 まず、アクションが良い。「るろうに剣心」でもそうだったが、荒唐無稽な背景と動きにおいても、ぎりぎりでリアル感を損なわないのは、ハリウッドとは違う日本独特の感じがする。アメコミ・ヒーローものの「そんなことないだろう」と思いながら観るアクションとは違って、妙に緊張感がある。チャンバラ映画の伝統を受け継ぐ、特有の「殺陣」感がそう感じさせるのだと思う。たとえ「食用ナイフ」であっても、「剣」であることには変わりない。 次に、変な背景も功を奏している。明らかに「日本」なのだが、西側の「女王陛下」の僕である「貴族」が主人公で、使用人は「燕尾服」と「メイド服」という変なゴシック感で統一され、極めて荒唐無稽な話に違和感を感じさせない。日本アニメ世界の発想の自由さは、やはり力強いと思う。 二人の女優もいい。 剛力彩芽は、美少女であり、美少年でもあるという中性的な役どころで、ある意味で彼女にうってつけの役ではないだろうか。それに、「笑わない」という役どころを最後まで貫くふてぶてしさも頼もしい。 優香は、癒し系のアイドルという点では最右翼であったのは認めるが、正直これまで女優さんとしては、私の中ではペケ印であった。一本調子の台詞回しが、どうしても素人に思えてしまっていたのだ。ところが、突然、女優開眼したかのような、圧倒的なレンジの広さを見せている。ちょっと驚いてしまった。女性としての悲しさと悪魔性を、これほどダイナミックに演じられるともはや脱帽である。監督の力であろう。 ともあれ、剛力彩芽がこの役を演じられるうちに、「2」が作られることを期待したい。
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