レビュー
『マン・オブ・スティール』の続編がやりたいのか、『ダークナイト・リターンズ』がやりたいのか、『ワンダーウーマン』の登場を描きたいのか…でもホントは『ジャスティスリーグ』がやりたいという、バラバラの意図がごった煮状態になってしまった底抜け超大作! 『バットマンvスーパーマン ジャスティスの誕生』 「マーベル社のオールスター興行が『アベンジャーズ』なら、おれたちDCには『ジャスティスリーグ』があるぜ!」 …とばかりに、前作『マン・オブ・スティール』の続編として描かれた本作。 アベンジャーズに対抗して、ジャスティスリーグの結成は急務。それは分かります。 しかし、やはり焦り過ぎ。 マーベルは、『インクレディブル・ハルク』『アイアンマン』『ソー』『キャプテンアメリカ』という、「正直コミックオタク以外誰も知らないヒーロー」を広く一般に認知させた上で 『アベンジャーズ』に至ったワケで、そういった丁寧な刷込みこそが最も凄まじく、だからこそプロジェクト的に素晴らしかったのだと思うのです。もうみんな、アイアンマン大好きですもんね! しかし本作は、スーパーマン以外は初登場! 「バットマンは…こないだおれがやったし、みんなわかるでしょ?(製作総指揮ノーラン)」「あと、タイトルに書いたけどジャスティスリーグへの繋ぎだから、みんなたのしみだよネ☆(DC)」「つーかホラ、コミック読んでたら分かるからさ(なげやり)」という、鑑賞者へ委ねる部分がたまりにも大きいです。 本作のバットマンは、こないだまでのバットマンとは全然別人(別シリーズ)だし、ワンダーウーマンやフラッシュが唐突すぎる。「…誰⁉︎」となること必至。 そして「ジャスティスリーグを早く作りたいんだよね〜」という製作側の事情と、「おれ、『ダークナイト・リターンズ』作りたい!」というザック・スナイダー監督の事情が、完全に乖離しており、せっかくの続編なのに主役であるはずのスーパーマンが可哀想すぎる…。彼の本来の活躍場面であるべき「人命救助」シーンが、まるで予告編の様にダイジェストで描かれ、前作同様、青空の中飛ぶ事すら許さない。曇り空と夜だけが延々と描かれるのです。 バットマンがスーパーマンに敵意を抱く理由は分かります。前作の大破壊を人間の視点から見て「許すまじ!」となる『ガメラ3』的なテーマも分かります。予告編でしつこく語り続けた「神対人」の構図も分かります。レックス・ルーサーがそれを利用するのも分かります。 しかし、ワンダーウーマンがいたのは…たまたま⁉︎ ルーサーの研究所のセキュリティは…ザル⁉︎ 仕掛けた装置を盗まれるバットマンは…アホ⁉︎ 盗んだけど解析できなくて返すワンダーウーマンは…何⁉︎ ある爆破事件で、黒幕がもうハッキリしてるのに引っこみのつかないバットマンは…駄々っ子⁉︎ 雨の中スーパーマンを待ち続けるバットマンは…イヤ、来ないかもよ⁉︎ バットマンがスーパーマンと和解する理由は…それ⁉︎ などなど、数々の長い長いツッコミどころを経て、ようやくたどり着く共闘の瞬間、助っ人に現れるワンダーウーマン!ぶっちゃけこの瞬間と音楽が本作の白眉だし、メチャメチャカッコイイと思うのですが…でも、だからこそ言いたい!SAY! 「これまでの流れ、ぜんぶぶち壊しだよ!」 「『神対人』のテーマはどこいったの⁉︎」 そして最後に言いたい。 「前作より被害者多くねえか⁉︎ええ、バットマンさんよォ!!!!!」
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