レビュー
『怪怪怪怪物』という明らかにB級映画風のタイトルではあるが、中々完成度は高い。いじめられる主人公を見て笑うクラスメイト達、その光景を見て見ぬふりをする教師と、さすがにこの映画ほどひどいことはないかもしれないが、現実でもあり得る光景だと思う。この悪人だらけの学校で、主人公のリンは、いじめっ子とつるみ、怪物を拷問することを通して、自分は善人なのか、悪人なのかに葛藤する。いじめっ子と一緒になって施設の老人に悪戯をしたり、怪物の拷問の手伝いをしたりする姿は完全に悪人だが、皆が去った後にひっそり自分の血を怪物に与えてあげたり、脱出するための逃げ道を教えてあげたりする姿は善人である。また、登場人物のほとんどが悪人であり、リンが酷くいじめられる様子や、怪物に残酷な拷問をするシーンは相当胸糞が悪くなるが、誰が善人で、誰が悪人なのかというテーマはしっかり描かれており、ラストも良いので見る価値はあるかと。また、この映画では大概の人間が死ぬのだが、誰が生き残るのかというところにも注目して見てほしい。リンの他にいじめられている女子生徒に対して、序盤のリンの「僕はお前とは違う」というセリフ、そして最後のリンの「君は僕らとは違う」というセリフ。一見ほぼ同じ意味のように思えるが、見終わってから考えると全然違う意味になっているというところも秀逸。タイトルの酷さとはうって変わって、善と悪について考えさせられる秀作だった。
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