レビュー
2019年267本目は全米史上最悪の殺人鬼、テッド・バンディの真実に迫るスリラー、『テッド・バンディ』。 ------------------------------------------------------------ 少々アメリカ史に興味がある人間ならば、誰しもこの男の名前は聞いたことがあるはずですが、本作ではそれを逆手に取り、彼と長らく生活を共にした女性リズの視点から事の顛末を描いています。非常にユニークであると共に、テッド・バンディが持つ本性のおぞましさが、普段の彼の屈託ない笑顔と対比づけられ強烈な印象を残します。 ------------------------------------------------------------ この鮮烈さに一役買っているのは間違いなく主演のザック・エフロンでしょう。甘いマスクの優男で、リズに対しても血の繋がらない子供に対しても朗らかに接しているにも関わらず、法廷で明らかになる事実は全く逆です。見ているこちらもリズ同様、テッド・バンディという男のことが本当に分からなくなってくる。犯罪者なのか冤罪被害者なのか…巧みに人を惑わす不思議な男を見事に体現していました。 ------------------------------------------------------------ 敢えて言うならば、こうした視点を貫くことによってテッドの残虐性は格段に薄まっており、事実と異なる生ぬるいラブストーリーに見えてしまう面も。また、後半はキャロル・アンブーン役のカヤ・スコデラリオが主演張りの存在感を発揮したため、リズ視点から描いた意味が次第になくなり、ラストの締め方もかなり強引で取って付けたように感じられてしまいました。
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