レビュー
【ホラーテイメント映画】 24時間自分が知らずに中継されていた、妻も親友もフィクションだった世界。完全にホラーながら、それを見る劇中の視聴者や、ストーリーの進み方の面白さも、エンターテインメント。見方によってジャンルが大きく変わる映画。 ◆概要 1998年度ゴールデングローブ男優賞、助演男優賞受賞作品。 監督:「フィアレス」のピーター・ウィアー。 脚本:「ガタカ」(脚本・監督)のアンドリュー・ニコル 出演:「イエスマン」ジム・キャリー、「目撃」エド・ハリス、「コンゴ」ローラ・リニー ◆ストーリー 典型的なアメリカ市民・トゥルーマン。彼の人生は、隠しカメラによってTV番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていた。家族や友人を含めたこれまでの人生が全てフィクションだったと知った彼は、現実の世界への脱出を決意する…。 ◆感想 もしも、自分以外は全て役者だったら?誰もが一度は想像した事のある世界を映画として具現化した作品。ある意味ホラーでもあり、ある意味エンターテイメントでもあり、見る人によっておそらく感じる事が多岐に渡る映画だと思う。 ◆シチュエーションムービー 全てがフィクションという、“ある条件下”で進むストーリー。「メメント」や「ハッピーデスデイ」最近は「クワイエットプレイス」や「ギルティ」など、この手の映画には、個人的な趣味もあるけどハズレがない。その中でも「CUBE」と同じく、とある条件下の世界を脱却しようとする本作。自分がその世界にいたらと想像しながら見る事で、自然と映画に没入する絶対的な映画の面白さがある。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆全貌 トゥルーマンが、天気まで操れる一つの巨大なスタジオで人生を送る世界。冒頭、空から降ってきたスポットライトから、サブ(副調整室)外のケータリングを発見するシーン、そしてスタジオの壁紙にたどり着くラストまで、その全貌がジワジワと明らかになるのが面白い。 ◆ホラーorエンターテイメント トゥルーマンの立場で見れば、自分の生活が24時間中継されるなんてホラー以外の何ものでもない。信じていた妻や親友が全てフィクションである事を知る絶望はあまり描かれてはいなかったけど、想像に難くない。どう説得されようが、その世界の外への脱却という選択を取るラストは大いにうなずける。ただこれをクリストフの立場から見れば、そんなトゥルーマンの中継を食い入るように見る幾人もの視聴者がいた訳で、一人の人生を盗み見するある種のエンターテイメントにそれは繋がっている。天気まで変えて一人の人生を支配する、まるで神の領域に達した支配欲の極みとして描かれていたクリストフを筆頭に、これが本当のエンターテイメントなのか、本作を観る者に問いかけているような、そんな気がした。 ◆なるほど ただ個人的には、24時間中継のため、CMを挟む事が出来ず、映像の中にスポンサーの商品を入れ込むいわゆるプロダクトプレイスメントという表現が、なるほどポイントだった。(突然ココアのPRをし出すメリルには爆笑だった笑)クッションに壁掛けプレートに、トゥルーマングッズが多数売れているのも面白い。 ◆ 20年以上前に製作された本作。5Gの時代となった今は、テレビではなくスマホに見る媒体が変わってきた。アメリカ本土のみならず、全世界の人が配信をスマホで見る世界を描く、本作の続編があっても面白い。
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