レビュー
ストレンジャーザンパラダイス(1986)☆ 監督:ジムジャームッシュ プライムビデオ 2017/08/14 大学時代に一度観たときはそこまでピンとこなかったが、社会人生活を経て、ヒップな生き方をする主人公達の儚さとそれに対する憧憬のような感情が自らの胸の内に巻き起こり、他の映画では感じ得ない、特別な感覚を覚えた。 映像の感想としては、基本的にはダウンバイローと同じだが、ヒロインが登場することによる、主人公の少し情けない行動なんかが、哀愁を感じてよかった。 賭博やイカサマで金を得て、何をするかと思えばすぐに新しい土地へ刺激を求め旅立つ。しかし、新しい場所で腰を据えて何かをするでもなく、ただ無為に時間を過ごすか、同じく博打に興じるのみ。特に不幸もないが、うっすら何か満たされず、何かを求め続けている。 安物の嗜好品に囲まれ、不要な苦労はせず、心地よいまどろみの中で暮らしながら、ぼんやりとした物足りなさが白黒のベールとなって画面を覆っている。ダウンバイローと比べると、そんなどことない閉塞感が強い。 しかし、そういった生活を否定的でなく、ただあるがまま、坦々とした眼差しで映し出している様が、本作の素晴らしさだと思う。 ゆったりとした夢のような映画だと思う。
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