レビュー
星ゆたか

星ゆたか

10 months ago

4.0


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牯嶺街少年殺人事件

映画 ・ 1991

平均 3.8

2025.5.19 初公開は1992年の秋の東京国際映画祭で。 エドワード·ヤン監督初登場。 『台湾ニューウェーヴ✨ホウ·シャシュンと並ぶ❗️』と絶賛され、その年の作品年間評価第2位に。 キネマ旬報では後に特集号で。 本作は90年代外国映画の1位に。 しかし一般初興業では惨敗で。 ソフト販売元の倒産などで。 その後英国のBBCの『21世紀に残したい映画100本』に選らばれたりしたにも関わらず。 中々上映·ソフト化困難状況に。 それをマーティン·スコセッシ監督が設立した会社等で。 オリジナルネガから4Kレストアデジタルリマスター版が制作され。 2017年3月日本では25年振りに236分版が公開された。 今回「エドワード·ヤンの恋愛時代」鑑賞の流れから、再鑑賞しました。 『何でこんなに映像を長くしたままの作品、普通なら編集して短くする⁉️』 (実際初公開の時は188分バージョン版もあった。) 『正直、こんな焦燥的 学生時代って嫌だな!』と思った。 それが映画の狙い⁉️ つまりこの物語の主人公の置かれた環境、状況の嫌悪感を観客に知って、想像し共有してもらう映画の造りになっている⁉️。 去年の暮れ「カセットテープ·ダイアリーズ」(19)という英国映画を見た時のような感覚。 あの映画の中の移民に対する『同世代の生活環境(不寛容な)での、意味もなく、やたら苛め暴力をふっかけてくる雰囲気』や。 『上の世代の保守的価値観の締め付け』 を毎日の生活の中で味わいながら。 『生きたくない❗️』と思った。 それだけ現在の私(など)の生活環境が、そのようでなく、(ありがたい事に)満たされているからなのだとも思うけど。 とは言えど、それなりに、この映画の中でも、少年時代の楽しみもある。 日常のささやかな喜びも含めて。 でも、やっぱり映画での、特に全編の人間関係における腕力の上下部分。 14歳の少年に寄ってくる、不良仲間の『誰が偉くて力があって、その下のオマエは、たださかわらずに従っていればイイ存在なんだ』の圧😠の空気感は御免だなと思う。 ただ、この映画は中国の内線から敗れて移ってきた200万の“外省人”の【懐古心】(親世代は出来れば本国故郷へ戻りたい)と。 その子世代の社会構成を新しく主従関係の力(論理中心でなく)で勝ち取っていこうとする【鬱憤】。 その狭間の、何ともやりきれない閉塞的な、時の流れを観客に感じとって(共有して)欲しくての長尺だったのかも知れない。 1961年6月に台湾で14歳の少年が同年の少女を殺害した事件を。 当時13歳だったエドワード·ヤン監督が強烈な印象を持ったという。 『何故あの時代にあの少年はそのような事件を起こすようになったのか。』 『それはあの時代だったからか?』 『いいや、このような出来事は今だって、世界のどこかで。』 『またこれからもどこかの誰かに寄って、起こされるかも知れない』と。 感じ考えたから作られたのかもしれない。 その為に、意図の理解と浸透と共鳴の236分なのかもと鑑賞後に感じた。 主演の少四(シャオスー)を演じたのは。 当時全くの素人(父も俳優)で15歳のチャン·チエン。 この映画出演後は一時(4年)学業に専念。 96年同監督の「カップルズ」から俳優業を再開。 ウォン·カーウェイ、ホウ·シャオシェン、行定勲監督らの作品や。 日本の❲烏龍茶❳CM等にも出演している。 彼が恋い焦がれる小明(シャオミン)役のリサ·ヤンさんの資料はあまりなかった。素朴な普通の娘さんの感じ。 物語は、大戦後上海から渡ってきた公務員の父と教師の母のもと。 兄.二人の姉.妹の7人家族。 家は戦前統治下の日本の小さなもの。 押し入れの上下を兄と寝床にしている。 シャオスーは下の寝床で懐中電灯を中で照らしながら。 ノートにその日の出来事など書いている。 名門の建国中学の昼間部に合格出来ず、不良生徒の多い夜間部に通う。 「小公園」と呼ばれる不良グループのメンバーになる。 対峙する「217」グループの下っぱが寄ってきては。 言いがかりや喧嘩の種をかけて、小さないさかいは絶えない。 そんな中足を怪我したシャオミンという少女に保健室で出合い、好印象を持つ。 しかし彼女は「小公園」のかつてのリーダーで。 誤って人を殺めて逃走中のハニーと呼ばれる男の恋人だった事を知る。 このリーダーなき弱体化する「小公園」を一気に潰そうと。 「217」のボス(シャントン)は、ハニーの代理で中山堂ホールを管理するホアトウに近付き。コンサートを開き一儲けを企む。 そこへ偶然姿を表した、海兵姿のハニー。 シャントンはこの一筋縄ではいかぬ、また暴力を恐れず。 一対一の対決を望むハニーを人気のない街道に引き連れ。 交通事故に見せかけて、殺してしまう。 ハニーが戻るまではシャオミンはシャオスー(主人公)に傾きかけていたが。 更にこのかつての恋人の死にショックを受け寝込んでしまう。 そして彼女の母が、シャオスーの親友の一人のシャオマー(軍司令官の息子)の家の家政婦として、働くようになり。 シャオミンも同居。 シャオマーとシャオミンが仲良さそうなのが。 シャオスーは『面白くない』。 日本家屋の屋根裏には日本人が残していった日本刀などがあり。 シャオスーは、その短刀を持ってシャオマーを待ち伏せする。 そこに偶々通りかかったシャオミンと口論になり。 勢いのまま刺し殺してしまう。 映画の題材になった、この殺傷事件は。 台湾史上最年長犯罪として。 裁判では、初め死刑判決から、16年実刑となり。 少年は30歳で出所しているそうだ。 暗い話ばかりでもなく。 主人公の仲の良い小柄な少年が。 エルヴィス·プレスリーの楽曲を。 ボッコレラジオ(たたくと音が出る)や。 落とすと割れる昔々のレコードで、覚え。 一人前にギターバンドのボーカルとして歌う場面などは楽しい。 また正義感が時に裏目に出る父と息子の会話の所もいいし。 この父が大陸のスパイ容疑で当局の厳しい取り調べを受け。 精神的に不安定になってしまうあたりも。 この時代の大人世代の悩める所として。 子供世代と共に時代色の出た内容であった。