レビュー
2019年135本目は各映画祭で『ローマ』と雌雄を決する戦いを繰り広げ、絶賛の嵐を巻き起こした、『Cold War』。 ランタイム88分ですが、スタッフロールが7分ほどありますので上映時間はわずか80分と中編映画並みの短さです。劇中では主人公ズーラとヴィクトルの恋愛模様が半ば狂気的に綴られ、二人の激動の人生が描かれていくんですけど、これだけの壮大なドラマを80分に凝縮できる時点でパヴェ・パヴリコフスキ監督の才能はちょっとケタ違いだと思います。 例えば、画面サイズを正方形・映像をモノクロにすることで余計な情報を廃し、観客の視線はひたすら二人の挙動に集中せざるを得ない作りになっています。また、スライス・オブ・ライフの形式で、二人の刺激的な瞬間のみが時間軸とは関係なく次々に飛び出してきますので、全く息つく暇がありません。 そして流れる情感豊かな音楽…と、観客に目と耳で至高の体験をさせつつ、脳内には常に解釈の余地を与え続ける、非常に難度の高い一作であることは間違いなく、私なんかは見終わった後にどっと疲労感が噴出してしまいました。
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