レビュー
cocoa

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4 years ago

4.0


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スティルウォーター

映画 ・ 2021

平均 3.3

原題の「Stillwater」はアメリカ、オクラホマ州の町の名前。 スティルウォーターで暮らすビル・ベイカーは油田の採掘作業員だったが今は失業している。 彼はフランス、マルセイユにいる娘アリソンが殺人事件で収監されていて娘の冤罪を何とかしようと足繁くマルセイユを訪れるが……そんなストーリー。 とにかくビルを演じるマット・デイモンの役作りに圧倒された。 典型的な保守派のアメリカ人で体つきも労働者階級そのもの。 過去には酒やドラッグにおぼれ、前科もあるらしい。 そんな男が異国に何度も通い、疎遠だった娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)と面会する。 フランス語もわからないビルはアリソンに頼まれるまま弁護士や教授や元警官に冤罪だと訴える。 ビルを助けたのはホテルの隣室だったシングルマザーの母娘。 母ヴィルジニーはフランス語を通訳してくれ、娘マヤはビルとの交流で微笑ましい関係になる。 マヤとの英仏交えての会話でビルはどんなに助かっただろう。 マヤが「オリンピック・マルセイユ」の試合チケットをもらった時の大喜びのシーンがとても可愛かった。 さて、ヴェロドームでの試合観戦の時、真犯人と思われる男アキームを見かけ帰りに拉致するビル。 アキームの髪の毛をDNA鑑定に差し出し、何とか打開しようとするが…。 時に感情を爆発していたビルが寡黙に帽子を目深にかぶり表情や言葉を抑えた姿に引き込まれます。 その後アリソンは新証拠のおかげで釈放、帰国。 マルセイユでは「アメリカの悪いレズビアン」と揶揄されていたアリソンがアメリカでは英雄扱いなのがとてもリアルなシーンだった。 望んでいた結果に疑問を抱える父ビルの苦悩。 自分が餞別で渡した「Stillwater」の文字のネックレス…この使い方もうまい。 ビルが「すべてが違って見える」と言うラストのやるせない言葉がいつまでも残る。 トム・マッカーシー監督作品は「扉をたたく人」や「スポットライト…」が好きだが、今作も押さえた作風がとても良かった。 時に「アマンダ・ノックス」事件や「瞳の奥の秘密」を思い起こす。 (あんな大規模なスタジアムで犯人らしき男を見つけるのはあり得ないと思うが…) それでもマット・デイモンの演技にはあっぱれ。 まさに「人生は残酷だ」…でした。