レビュー
2020年65本目は、宇宙人に侵略された地球を舞台としたSFかと思いきや、まさかの展開を迎える『囚われた国家』。 ------------------------------------------------------------ 本作の監督を務めるルパート・ワイアットはデビュー作の『脱獄』も結構面白かったですし、何より『猿の惑星』リメイクを見事に成功させた功労者でもあるので、次回作には非常に期待していました。そしてでき上がった『囚われた国家』は何とも形容しがたい複雑さを放つサスペンスで、多くの人が困惑する内容になってるんじゃないかと思います。 ------------------------------------------------------------ 何がすごいって、あんなに心がワクワクする巨大宇宙戦艦や奇形の異星人を見せておきながらその後一切出てこないばかりか、映画のトーンが極めてシリアスな政治色をまとったドラマに変貌していくんです。ただ狙いは結構分かりやすくて、絶対的な権力を誇るはずの「アメリカ」が外敵=「テロリズム」によって瓦解していく様を、皮肉たっぷりに風刺しています。 ------------------------------------------------------------ 奇遇なことに、コロナウィルスに対して効果的な施策を発揮したのは各国首脳の英断であり、アメリカではありませんでした。加えてトランプ大統領が国際組織から離脱する姿勢を示したことで、アメリカは今まさに世界をリードする主権の座から陥落したと批判されています。そんな状況を重ね合わせると、中々興味深く見れる1本ではあると思います。 ------------------------------------------------------------ ただし肩透かしを食らったがっかり感は尋常ではありませんし、最終的にはよくある「アメリカ万歳」プロパガンダになっていてメッセージの意義が薄まっています。こんなに遠回りな作戦を立ててるのも馬鹿馬鹿しいの一言に加え、宇宙人を一般人がタイマンで倒しちゃうシーンは本当にいらなかったです。全体に狙いが空回ってる感は否めません。
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